護国山
菅王寺
[菅生寺]
本山修験宗
★★☆
滝
二市一郡新四国霊場第81番札所
豊前国三十三観音霊場第29番札所
歴史
本堂前に置かれていた由来書きの内容をそのまま記す。
菅王寺の由来
当寺院は、紫川の源泉、菅王の滝を背景として栄えた、修験の道場です。
古く、欽明天皇(509-571)(約1400年前)の御代に、百済国(現韓国)に菅王子と云うすぐれた王子がおられました。 王子は、日夜、仏道修行に専念されていましたが、ある日、「海をへだてた東の国に霊地あり、汝、行くべし。」という仏のお告げを受けました。
印度の釈尊と同じ心境で、王子は高位を捨て、はるばる筑紫の海岸に上陸し、菅王の滝へこもりました。
十数年後に、侍臣の智賢上人が、王子を慕ってやって参りましたが、王子はすでに他界していました。 智賢上人は、菅王の滝山内に王子の霊を祀り、自身は山麓に庵を結び、王子の霊を弔いながら、その意思を継いで、衆生済度に専念しました。
これが菅王権現であり、草庵菅王寺であり、開祖は智賢上人であります。 菅王滝と菅王寺はこうした由来の上に命名されたのです。 (一般には菅生滝とかいていますが、史実からいえば、それは誤りであって、「生」は「王」でなくてはならないのです。)
平安の初め(約1200年前)、英彦山の座主、法蓮上人が、菅王滝山内に修験道場を開始しました。 その後、当菅王寺を中心として、48坊が建立され盛を極めました。
江戸時代に入って、細川、小笠原藩主の祈願所として、厚い信仰と庇護を受け、豊前の国(北九州全域)一帯の民衆を信徒とする一大信仰の場として栄えました。 (本尊薬師如来の効験は著しく、古くから、病気平癒、災害済除、諸願成就等の祈願の霊場として知られています。)
明治5年、維新政府は、祭政一致の方針を採り、国家神道を掲げ、神仏分離という悪法を出しました。 そのため、社会的に廃仏毀釈という騒乱がおこり、これによって修験道はほとんど壊滅し、 英彦山・宝満山をはじめとする有名な修験の霊場は総て神社に変身し、修験本来の姿はなくなりました。
福岡県下でも数100ヶ寺、小倉北区内でも20数ヶ寺を数えた本山修験宗の寺院は、現在、九州全域で10指を数えるのみとなりました。
その中にあって、当護国山菅王寺は、北九州唯一の修験道場として、連綿、千有余年の法灯を堅持しています。
願似此功徳普及於一切
我等与衆生皆共成仏道
本山修験宗 菅王寺住職 清川雅俊
道原貯水池及び浄水場建設に伴い、大正元年に現在地へ移転。現在に至る。(Links① より)という。
豊前国三十三観音霊場第29番札所・二市一郡新四国霊場第81番札所。
門前より700m(徒歩8分)西には奥の院があり、その側には管生の滝がある。 この周辺には多数の石仏もみられる。
ひとくちメモ
菅王寺は本堂域とそこから、500m程坂道を登った所の奥の院とで構成されている。 昔は48もの僧坊があったというから、この一帯は僧坊跡が多数残っているのではなかろうか? この一帯は道路も整備され、奥の院の少し手前まで乗用車で乗り入れ可である。 大杉をはじめ多数の植物も観察できる。 北九州市民の憩いの場となっているようで、山歩きされている人・手をつないで歩く若い男女などを見かけた。
本堂域境内には、十三仏・不動明王像などがみられる。 本堂域から少し坂道を登った所の道端に不動堂がある。 安置されているお不動さん。きれいにお化粧をされておられる。 怖いがやさしいお顔をされている。
記事を書きながら地図をよくよく見ると、奥の院のすぐ下手に妙法寺が表示される。 どうして気づかなかったか?? 残念無念である。 ひょっとしたら菅王寺に関係する寺かもしれない。 ヘビの居ない秋に紅葉を観に行ったおりにお参りしてみようと思う。
写真
奥の院・菅生滝
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奥の院は、すごい。 菅王(生)の滝。奥の院の少し上手にある。 落差は30mあるという。すごい水量の滝である。
奥の院境内一帯には100体はゆうに超える石仏が祀られている。 しかも真新しい前掛けをされている。 これだけの多数の仏に囲まれたのは久しぶりである。
奥の院境内一帯はきれいに管理されている。
周辺のスポット(4km以内)
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Links
①菅王寺 | 小倉南区道原・春吉・頂吉地区の史跡等
②菅生寺 北九州市
③菅生の瀧周辺の石仏 北九州市
④菅生の滝|日本の竜蛇譚:九州・沖縄|龍学
⑤菅生の滝/すがおのたき(北九州市)・福岡地域別探検
⑥菅生の石仏 | 風に吹かれて