heritage 往生山 親山虚空蔵堂(おやまこくうぞうぼさつどう) [明星寺跡] 仏教礼拝所 ★☆☆ 清賀 大日如来坐像 虚空蔵菩薩坐像 十一面観音菩薩立像 糸島西部八十八ヶ所霊場第4番

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〒819-1323 福岡県糸島市志摩小金丸虚空蔵堂   標高:142m 地図 GMAP
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本尊
虚空蔵菩薩坐像

歴史

虚空蔵堂脇の石製の案内板の内容をそのまま記す。

虚空蔵堂について

ここはその昔往生山明星寺といい可也山北面中腹に大伽藍があった時代の中心地です。

付近には12の僧坊もありましたが、足利時代(1336-1573)の騒乱で廃寺同様となり、虚空蔵菩薩十一面観音大日如来薬師如来等が一堂に合祀され、虚空蔵堂として現在に至っております。

知恵を授かり頭痛にはお供えの木槌を借りて頭を軽く叩き、快癒すればお礼に歳の数だけ木槌を作って返すという言い伝えがあります。[1]

親山地区の千蔵坊・大坊・柿坊・姉坊・坊山・引地・不断経・経の隈・手水・風呂の谷・赤が谷・ 花の木原・薬師堂・観音田・施餓鬼田、師吉地区内の桜木坊・祈祷御坊・常泉坊・籠門・御堂坂等の地名や 道傍の伽藍様等はその名残りでしょう。

大正(1912-1926)初期にはつつじを植え、石段を築き、心字池を堀り、つつじの名所にもなりました。 4月13日の縁日には親戚・知人を招き集落挙げての大祭をしていましたが、昭和28年(1953)の豪雨により崖は崩れ、 池は埋まり、お堂も痛み、大祭は止んでしまいました。[2]

平成11年(1999)3月。仏像の中の十一面観音立像が福岡県の文化財に指定されました。

これを機会に、親山の従来の全29戸より均等な拠出金に県及び町の補助金を加え、かつ木材の全部を親山生産森林組合の山林から 伐採使用し、お堂を全面改築、全仏像を修復安置しました。 また、旧お堂及び厨子等は丁重に供養荼毘に付し、平成15年(2003)4月13日かつての縁日に落慶式を営みました。

私たち親山の住民は約1千年の昔から先達が残してくれたこの財産を守り抜き、永く後世に伝えてゆくことをここに誓います。

平成15年(2003)4月吉日 親山区

可也山山頂には明星寺ゆかりの一字一石塔(元文5年(1740))がある。 可也山仏堂の展望所の項に画像を掲示している。

『糸島の八十八ケ所信仰 第1回志摩地域の霊場 展示解説』(糸島市立志摩歴史資料館、2019年6月)によれば、 御堂は糸島西部八十八ヶ所霊場第4番となっているという。

参考:『筑前國続風土記拾遺』巻之49

ひとくちメモ

虚空蔵堂は「筑紫富士」とも言われる可也山(標高:365m)の北側中腹に建てられている。 案内板のとおり近年建て替えられたもので建物はまだ真新しい。

お堂は開放されており、いつでもお参りできるようである。記帳用のノートもある。 堂内には正面のガラス格子に保護された木造虚空蔵菩薩坐像・木造十一面観音菩薩立像・木造大日如来坐像が安置されており、 ガラス越しではあるが目の前で拝むことができる。

虚空蔵堂の裏手に土手に薬師堂がある。

上の案内板にもあるとおり、地元の方々の強い信仰心を感じる場所である。

虚空蔵堂へは、一部砂利道ではあるが、乗用車で横付け可能である。(林道であるので枯れ木などに注意が必要) 現在、GoogleMapではお堂までの道が途切れて掲載されているが、その先にはちゃんと道がある。

写真

  • 可也神社参道口の道標 - 参道入口より20mほど登った所
    可也神社参道口の道標 - 参道入口より20mほど登った所 
  • 扁額
    扁額 
  • 参道の石段
    参道の石段 
  • 堂内 - ガラス格子の向うに仏像が安置されている
    堂内 - ガラス格子の向うに仏像が安置されている 
  • 積まれている木槌
    積まれている木槌 
  • 虚空蔵堂 - 横から撮影
    虚空蔵堂 - 横から撮影 
  • 参道の石段の頂上脇のカエデの木の大木
    参道の石段の頂上脇のカエデの木の大木 
  • 虚空蔵堂への参道入口
    虚空蔵堂への参道入口 

薬師堂

薬師如来堂・展望台への坂道の入口
薬師如来堂・展望台への坂道の入口 
薬師如来像
薬師如来像 
薬師如来像の石厨子の遠景
薬師如来像の石厨子の遠景 
虚空蔵菩薩堂
虚空蔵菩薩堂 
薬師堂から眺める志摩の街並み - 右上の白い建物は九州大学伊都キャンパス。その先は毘沙門山
薬師堂から眺める志摩の街並み - 右上の白い建物は九州大学伊都キャンパス。その先は毘沙門山 

虚空蔵堂の裏手に「薬師堂・展望台へ」の案内板があり、坂道がある。そこに登ると桜の木の下の石厨子の中に真新しい薬師如来の石像(像高目測30cm)が安置されている。

ここからの眺めもなかなかのものである。


筑前國続風土記拾遺』巻之49 志摩郡 中 小金丸村の項

虚空蔵堂

親山に在。 昔は往生山明星寺といふ巨刹なりしとそ。(本編に見えたり。) 今ハ草堂(2間3間)のミ残れり。 本尊(虚空蔵菩薩清賀作といふ。)(ならびに)大日十一面観音の像有。 いつれも奇工なり。 堂の傍に地蔵の石佛有。((しらべる)に雷山所蔵建武中(1334-1336)の文書に小金丸佛名寺熊野免田なといふ事多くミゆ。 かかる寺の古名ならすや。(なお)考ふへし。)

筑前國続風土記拾遺』巻之50 志摩郡 中 師吉村の項

廃寺址

櫻木坊(櫻木 虚空蔵石佛有。) 祈祷御坊(祈祷) 常泉坊(尾崎 石佛有。) 此3坊は昔親山明星寺の末なり。 今其跡農民の宅となれり。(以下略)

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