第39章 榧(カヤ)〔便秘、夜尿症、腸管寄生虫症〕  便秘 夜尿症 腸管寄生虫症 酒毒

◆見分け方の特徴

榧
榧
榧

カヤは、暖帯林に自生する雌雄異株の常緑の高木です。高さが25mにも達するものもあって、社寺林などには巨木がよく見られます。樹皮は、灰褐色で老樹になり縦裂してはげ落ちます。葉は堅くて先端が鋭く尖り扁平の線形で横枝にきれいに2列に並んでいます。

葉の表面には光沢があって、裏面には淡黄緑色の2本の黄白色の気孔帯が走っています。花は4~5月ころに開花して、雄花は葉腋について枝の下面に並んで付いて、長楕円形黄色、包鱗には3個の葯があります。雌花は無柄で小枝の先に群がって付いて、数層の細かい鱗片を持ち中央に1胚珠があります。

種子は、長さ2~3㎝、直径1~2㎝で肉質の仮種皮に包まれていて楕円形、10月頃に紫褐色に熟して、翌年秋に仮種皮が裂けて、淡赤褐色の堅い種子が地上に落ちます。チャボガヤとハイイヌガヤ、どちらも2mくらいまでの小さな木です。葉をにぎって痛く感じるのがチャ ボガヤで、痛くないのがハイイヌガヤです。チャボガヤはイチイ科で、ハイイヌガヤはイヌガヤ科です。どちらも、雌雄異株なので、全部に実が付くわけではありませんが、実が生っているものは同じような実です。

  • 科名:イチイ科/属名:カヤ属
  • 和名:榧/別名:ホンガヤ
  • 学名:Torreya nucifera Sieb. et Zucc.
  • 温帯地域の山地に自生。庭木などに植栽される
  • イチイ科カヤ属チャボガヤ
  • イチイ科イチイ属キャラボク(伽羅木) 葉を見ればイチイ科と分かります

◆採集と調整

カヤの種子を採取して、種子の肉質の外種皮を取り除いて、天日で乾燥します。これを生薬では、榧実(ひじつ)、種子を榧子(ひし)といいます。

◆薬効

夜尿には、カヤの種子を()って粉末にして、3~5歳くらいまでならば1回に0.3~0.6gを1日3回内服するか、生の種子を1~2個焼いて食べます。十二指腸虫駆除には、空腹時に、乾燥した種子を大人では1日1回3~5gを粉末にして内服します。

中国産の榧子(ひし)も条虫駆除に、1日量として30~50gを炒めて毎日寝る前に噛み砕いて内服します。小児癇癪には1日量15~30gを煎じて服用します。また、消化吸収を増進する作用があって、消化機能が減少して食欲がなく腹がはって便秘するような場合には、常時1日量10~15gを炒って榧子を食べるとよい結果が得られるということです。

酒は飲めるが、どうも食欲がないという場合などにも、榧子を数個食べると酒毒を榧子が消して食欲を増進させるとされています。

<その他>

名前の由来は、カヤの古名は、カエ、カヘと呼び、それから転訛して、カヤの名になったという。また、古くは根や枝葉を蚊遣りに使ったので、カヤの名がついたという説もある。カヤは、日本の古書の「延喜式」の「典薬寮」に、榧子として記録されていますが、()は中国産のトレヤグランディスのことでカヤの類似植物です。

榧子もカヤの実も腸内の寄生虫駆除薬として用いられ、また、カヤの実の油は、食用、頭髪油、灯火用に利用されてきました。カヤの材は辺材、心材の区別が不明瞭で黄白色で、柾目材は油気が多く弾力性に富むので、碁盤にした場合には最高のものとされていて、建築材、仏像 などの彫刻材、算盤の玉、数珠、櫛、傘の柄などにも利用されます。

古代の日本では、灯火として胡麻油を使い、その後、エゴマ油、シソ油、ナタネ油を使っていたが灯火油が無い場合には、カヤ、イヌガヤ、チャボガヤなどの実から油を採り灯火用に使ったという。

◆カヤ酒〔生では手に負えない〕

カヤの実を焼酎に漬けるのですが、薄いピンクの、少し松脂の香りがする。おいしい酒です。そのカヤの実を捜していたのですが、結論が出ました。ハイイヌガヤの実を使うのです。と言うのは、チャボガヤの実も松脂の香りがするのですが、秋には実がはじけてしまいます。ところがハイイヌガヤの実は、破裂しません。熟すとやわらかくなり、甘い汁が入っています。

  • カヤの実を剥く、手でひねるとつるっとむける。
  • 実をあく抜きする。1週間灰汁の中につけておく。
  • 乾燥させ、煎って種皮を割る。
  • 出てきた実の渋皮を爪でしごいて、蜂の子のような胚乳の部分を食べます。
  • 食べずに、これを焼酎で漬け込みます。

※生のままのカヤの実は、アクが強いので灰汁抜き必須です。(栃の実と同じ)