第35章 葛(クズ)〔解熱、血糖値に効果〕  下痢どめ 咽喉の渇き抑制 女性ホルモン様作用 発汗 脳冠状血管血流増加作用 血糖降下 解熱 鎮徑 風邪

◆見分け方の特徴

葛
葛
葛粉の材料は巨大な根です

葛

クズの根は肥大し長大で、澱粉を蓄えて横にのび白色、噛むと少し苦味があります。茎は太く丈夫で、長く他に絡みついてのび、褐色毛に被われています。葉は互生し、3出複葉、小葉の柄は短く、2つの側葉の形は楕円形、真中の小葉は円形です。

葉縁は全縁、長さ、巾とも10~15センチ程です。葉の裏面は白味を帯びて毛が密集してざらざらしています。クズの花は秋に、葉腋からのびた軸に総状花序をつくります。花色は赤茶色で長さ2cmほど、形は蝶形で旗弁、翼弁、竜骨弁からなっています。

果実は長さ6~8cm、巾8~10㎜の扁平、茶褐色で、有毛のさやをつけます。マメ科です。

  • 科名:マメ科/属名:クズ属
  • 和名:葛/生薬名:葛根(かっこん)
  • 学名:Pueraria lobata
  • 日本全土の日当たりのよい山野、野原、荒地に群生する、大型の多年草で繁殖力旺盛
  • 日本各地、朝鮮半島から中国大陸に分布して、北米に帰化しています

<その他>

クズの名前の由来は、神武天皇東征に絶大な功績があった、磐排別(いわおしわく)の子供の名前、大和国奈良県の国栖(くず)が、デンプン・葛粉(くずこ)の産地であり、この国栖の人々が京都に売りに来たことから由来するという。

地方では、甘みがある根茎を噛んで、噛む根という意味から、カンネや、馬が好んで葉を食べるので、千葉ではウマノボタモチ、群馬ではウマノオコワなどの方言がある。

昔は、クズの蔓を材料にして葛布(くずふ)に織って着物にしたり、葉を家畜の飼料にしていて、葛布は今も各地に残る民芸織物に利用され、特に掛川(静岡)の葛布の織物は有名です。また、クズからとれるクズデンプンは和菓子の材料として利用されていて、春雨に似た葛切りは、クズデンプンを水でといて煮たものを冷ましてから、うどんのように細く切ったもの。

◆採集と調整

クズの根を秋から春にかけて、地上部に残った茎をつたって、掘り採ります。十分に水洗いして、乾燥しやすいように、外側の皮を取り除き、板状あるいはサイコロ状に切ってから天日で乾燥させます。これを生薬名で葛根(かっこん)といいます。

葛粉(くずこ)は掘りとった根を水で洗い、外皮を取り除いた根をすりおろして粥状にし、綿布で繊濾して繊維質を除き、少し放置してうわ澄み液を捨てて、数回同じことを繰り返すと、底に白泥が残ります、これを乾燥したもので、でんぷん質だけを集めたものです。

病後やかぜをひいたときなどに、薬用にする葛湯は、あまり水にさらさないので灰色になりませんが、葛粉と同様に近い効き目があります。

クズの花(葛花(かっか))は、9月の開花の始まる頃、穂状の総状花序ごと採取し、風通しのよい場所で速やかに乾燥させます。

◆薬効

解熱、鎮徑、脳冠状血管血流増加作用、血糖降下、女性ホルモン様作用があり、発汗解熱効果がすぐれています。漢方薬の葛根湯、桂枝加葛根湯などに配合され、漢方薬に最も多く配合される薬草のひとつです。葛根(かっこん)は主に漢方処方の葛根湯の主薬となり、葛粉からつくる葛湯は、風邪などの時に用いるとよく効き目があり、寒気や熱をとり、咽喉の渇きや下痢を止めます。

乾燥したクズの花(葛花(かっか))は、2日酔いに葛花3~5グラムを0.3リットルの水で煎じ沸騰したら加熱をやめ、冷えてから飲みます。健康飲料には、水洗いした生の根を約 100g程小さく刻んでミキサーに入れて、水を加えて砕いた後に、繊維質が沈殿したら、うわ澄み液を別の容器に移して、これを1週間分として冷蔵庫に保存して、朝夕2回食前に飲みます。

塗布:

葉を乾燥して粉末にしたものに油を混ぜて外傷の出血に塗る。クズの新芽、若葉を摘み取り熱湯で塩茹でして、あえもの、油いために。クズの花は、塩ゆでして酢のものや天ぷらにします。また、葛粉で葛湯のほかに、くず餅、和菓子などに利用します。

クズデンプン:

肥大した根茎を秋に掘り取り、洗って泥を良く落とし根皮を削り取り、たたき潰して出る汁を水にさらす。白いデンプンが沈殿するので、水洗いして集めて乾燥する。これが、不純物の入らない良質なクズデンプンです。

◆葛花酒〔ここでは葛花を使用〕

葛の花はなかなか美しい、色は鮮やかなアメジスト、藤の花をさかさにしたような形で、この花を摘んで、お酒を作ります。いわゆる根っこはデンプンの葛粉です。

最も注意すべきは、花にもぐり込んでいるカメムシです。この虫まで酒に漬けこんだら、目もあてられないので厳重にチェックして取り除くことです。クズの花は、下の方から順に咲いていくから、上の方が咲き始める前に摘んでこなくてはいけない。

花の酒の場合、水で洗うわけにいかないから、排気ガスや土ぼこりで汚染されている可能性のあるものは、はじめから対象外です。清浄な葛花を摘んですぐにホワイトリカーに漬ける。引き上げのタイミングも大事で、三日から一週間以内にはかならず引き上げ、酸化を防ぎます。

その後は熟成です。引き上げた後の四ヶ月も熟成させたクズ花酒は、色は薄く透き通っって、琥珀色になります。花の香りがアルコールに溶けています。この香り、なまの花からはさほど感じられないのだが、アルコールと響き合って出現します。