第27章 無花果(イチジク)〔京料理で使用される〕  イボとり 下痢 京料理 便秘 健胃整腸薬 口腔癌 咽喉の炎症 咽喉癌 神経痛 肺癌 血圧降下作用 風邪

◆見分け方の特徴

イチジク
イチジク
イチジク

雌雄異株の落葉性の小高木で枝は開いており、茎葉ともに傷をつけると白色の乳液がでます。葉は互生して、掌状に3~5裂しています。葉裏には粗い毛が密生しています。5~6月ころ花は花托が発達してできた倒卵球形のいわゆるイチジク型の隠頭花序をつけます。普通は上の 方に雄花、下の方に雌花がありますが、栽培される品種には雄花がありません。

隠頭花序である花の袋は熟すると暗紅紫色となり食用にします。京料理では茹でて柚子味噌で食べますと、茄子の食感で美味しいものです。

  • 科名:クワ科/属名:イチジク属
  • 和名:無花果/生薬名:無花果(むかか),無花果葉(むかかよう)
  • 学名:Ficus carica
  • シリア、ギリシャなどでは、紀元前から栽培されていて原産地と考えられている
  • 日本には17世紀前半の江戸時代寛永年間に中国から長崎に渡来。
  • 本州、四国、九州に分布。暖地の水辺を好んで栽培。

<その他>

小アジア原産といわれ、紀元前200年にはすでに栽培されていました。中国には古く唐代に入っています。日本の場合には、江戸時代の寛永年間に、中国から長崎に入ったのが始まりと伝えられています。葉の切れ込みが浅い品種は古くに渡来したもので、明治以降に入った葉の切れ込みの深いものを洋種として区別しています。

イチジクの名前の由来は、一説には果実が1ヶ月で熟す(一熟・いちじゅく)からという説と、1日1果実ずつ熟すからという説があります。両方とも熟すというところからきています。

イチジクは、13世紀ころにインド、イランから中国へ伝わり、ペルシャ語のアンジールからインジェークォ(映日果)と音訳されました。日本では、唐音読みして映日果(えいじつか)と呼ばれていて、それから転訛して和名が生まれたということです。また、中国でイチジクは花が咲かないのに果実ができるとして、無花果という漢名があります。映日果という呼び名は今では古名となっています。

普通に私たちが食べている、イチジクの実というのは、果実のように見えますが、花の集まりの袋のことで、雌花の花のうで花のうの内面は肥厚して甘く美味になります。イチジクの実を割ると小さな粒々がぎっしりとつまっています。この粒々が花のかたまりです。生の果実は栄養が豊富で、酵素に含んでいて消化を助けます。

◆採集と調整

秋に熟した果実を天日で乾燥させます。これを生薬で無花果(むかか)といいます。また、真夏に葉を採取して水洗いしてから天日で乾燥させます。これを、生薬名で無花果葉と呼びます。田舎では小川の鰻を掴むのに無花果の葉を使って鰻のヌルヌルを回避します。

◆薬効〔下痢、便秘に、咽喉〕

クマリン類・ベルガプテン、プソラレエン他(プソラレエンは血圧降下作用が確認される)果実は生食できますが、無花果を煎じたものは弱い緩下作用があるので、健胃整腸薬として下痢、便秘に、また、咽喉の炎症を和らげる作用があるので、風邪や咽喉の痛みにも用います。

無花果を1日量30~50gに0.5ℓの水で煎じて約半分の量に煮詰めたものを、食後に1日3回服用します。また、無花果葉20gを水0.4ℓを加えて煎じ約半分の量にまで煮詰めて、1日3回空腹時に内服すると血圧降下に効き目があるとされます。

葉や茎を傷つけて出る白い乳液には蛋白分解酵素が多く含まれていて、イボとりに使用されます。またこの乳液は、正常な胃腸には関係ありませんが、潰瘍などを起こしている場合には有害になりますので注意が必要です。

葉は、浴剤として風呂に入れると体が温まり、神経痛や痔によく皮膚をつややかにします。中国では、未熟果実の乳液中にはラットの移植した肉腫、マウスの自発性乳癌などを抑制する成分があるとされ、無花果の水抽出物中には、抗エールリッヒ肉腫の作用のあることが知られています。

一般に咽喉癌、口腔癌、肺癌の治療に用いられていて、無花果60gと蜜棗(ナツメ)2個に水0.5ℓを加えて煎じ、服用します。または、その煎じ液でうがいをするとされます。