第21章 櫟(イチイ、オンコ)〔種子は毒性あり〕  小便不利 糖尿病 通経薬

◆見分け方の特徴

櫟
櫟

常緑の針葉樹で、樹高18メートルにもなり、樹皮は赤褐色をしており、庭園樹として植えられていますが、低木型で伸長せず枝張りが盛んな一変種キャラボクが多いようです。葉は、長さ1~3㎝羽状で左右の2列に出ますが、キャラボクでは放射状に出て、上面は深緑色、下面は青白色です。花は、雌雄異株で、3~4月ころに黄褐色の花をつけます。

9月ころに種子は赤色の仮種皮に包まれて成熟します。仮種皮は甘味があり、美味しく食べられますが、種子は有毒です。仮種皮が黄色のものをキミノオンコといい、北海道でまれに産します。北海道や北東北の方言ではオンコと呼ばれ、アイヌ語でクネニと呼ばれた。

  • 科名:イチイ科/属名:イチイ属
  • 和名:一位
  • 学名:Taxus cuspidata
  • 北海道、本州、四国、九州に自生し、サハリン、南千島、朝鮮半島、中国、シベリアに分布。
  • 本州の日本海側の秋田県真昼岳~鳥取県伯耆大山までの高山~亜高山の多雪地帯に自生する。

<その他>

しゃくは高官が儀式のときに持つ板切れですが「延喜式」からイチイの材で作られるようになったとされています。平安時代は別の材で作られていたようです。正一位、従一位などの位の名称からイチイの名が生まれました。しゃくしゃくの材料には、飛騨の位山(くらいやま)産のイチイがおもに用いれられたようです。

この地方はイチイの巨木が多く、保護林とされていた時代もありましたが、戦後伐採されてしまいました。飛騨の高山はイチイの材質が緻密で、やや堅く心材は赤紫色で光沢に富み、くるいがないので工芸用材としてイチイ細工が盛んで家具や彫刻が有名です。

別名にアララギ、オンコなどがあり、アイヌはこの木の心材を、良く枯らしてから熱を加えて曲げて弓にするそうです。心材は暗赤色の色素を含むので、砕いて水に浸して暗赤色の染料にすることもあります。

◆採集と調整

葉を採取して水洗いして、天日で乾燥した物を、生薬で一位葉(いちよう)といいます。実は綺麗な紅色ですが柔らかいゼリー状です。種子は黒ずんでいて毒なので食べないこと。

◆薬効〔主に咳や痰の薬効〕

糖尿病、小便不利、咳、痰、通経薬として、また糖尿病に一位葉を用います。一位葉を1日5~10gに水0.4リットルを加えて煎じ、約半分の量まで煮詰めたものを3回に分けて、食間に服用します。

◆イチイ(オンコ)酒

実が熟れる9~10月ころ(北海道は冬の前)に甘味のよく出た偽果を採取して、水洗いしてよく水を切り、紅色の仮種皮はよりわけて仮種皮の量の2~3倍量のホワイトリカーを入れて、漬け込みます。よく成熟するには約6ヶ月かかりますが、3ヶ月程度から飲用できます。

甘味は成熟後、砂糖でつける方が良いようです。色は美しいコハク色になります。緩下、咳止めに効き目があるとされています。

櫟 櫟 櫟