第11章 棗(ナツメ)〔ナツメの木が減った〕  不眠症 健胃 利尿 口腔癌 咳止め 咽喉癌 子宮痙攣 小児の夜泣き 強壮 神経衰弱 精神安定 緊張による急迫症状の緩和 緊張による痛みの緩和 緊張による知覚過敏の緩和 肺癌 胃痙攣 鎮痙 鎮痛 鎮静

◆見分け方の特徴

梅
梅

棗(ナツメ)は落葉の低木か小高木となり、高さ10mに達する場合もありよく分枝します。葉は、小枝に互生して葉柄は短く、少し平面的に並び羽状複葉のように見えます、卵形か長卵形で長さは2~4cmです。先は鋭か鈍で葉基は鈍形で、少し左右非対称です。質はやや堅く光沢があります。3主脈があり辺縁には鈍鋸歯があります。花は4~5月ころに葉の脇に淡黄色の小さな花を数個ずつつけます。果実は核果で楕円形で、はじめは淡緑色ですが、熟すと暗赤色になります。

  • 科名:クロウメモドキ科/属名:ナツメ属
  • 和名:棗/生薬名:大棗/紅棗/黒棗
  • 学名:Zizyphus jujuba var.inermis
  • 日本全国で栽培。
  • 南ヨーロッパかアジア西南部原産でインドや中国にも大きな実の棗が自生する。
  • クロウメモドキ科ケンポナシ属ケンポナシ(玄圃梨)
  • クロウメモドキ科クマヤナギ属クマヤナギ(熊柳)

<その他>

ナツメは「桃、栗3年、杏は4年、梨は5年、(なつめ)は、その(とし)金になる」といわれて有利な果物として珍重されて、多くの品種改良があります。南ヨーロッパかアジア西南部原産で、日本には古くに渡来していて「延喜式927年」にも乾棗(ほしなつめ)大棗(たいそう)の名が出ていて、その昔から薬用に供していたことがわかります。

ナツメの名前の由来は、夏に新芽がでるから夏芽(ナツメ)だというという説と、お茶に使う抹茶入れのナツメに果実が似ているからという説があります。本草和妙、和名抄で、オオナツメやナツメと呼んでいた

漢名は、中国の古書には「大なるを棗といい、小なるを棘(きょく・サネブトナツメ酸棗)」という記述があります。このことからナツメは、果実が大きいから大棗(たいそう)という漢名があります。

ナツメは、「あのこはだあれ」という童謡でも謡われています。「あのこはだあれ だれでしょね なんなんナツメの花の下」この唄からも、ナツメは日本人には親しまれている果物のひとつで、童謡にも謡われている数少ない薬草木です。

◆採集と調整

暗紅色に熟した果実は生で食べたり、甘味を加えて煮たりしますが、日干しにして乾燥してから蒸して、また日干しにしたものを生薬の大棗(たいそう)といいます。このように乾燥したものは保存がしやすく、このままで食べたり、薬としても用います。

食用にだけ用いる場合はホシナツメで、夜露に当ててから翌日日干しにしたもので、大棗のように暗褐色ではなく、赤いので紅棗と呼びます。これに対して、生薬の大棗を黒棗といって区別します。紅棗を赤く仕上げるためには、採取後すぐに湯通しして、スノコなどの上に並べて夜露にあてて乾燥させます。日本で栽培されるナツメは小粒ですが、剪定をしたり冬季に根元を刺激するなどの処置をすると大型のナツメの果実が採取できます。

◆薬効:滋養と強壮〔薬効成分も多い〕

漢方でよく使われる生薬のひとつで、緩和、強壮、利尿、鎮痙、鎮静などに応用されます。特に、緊張による痛みや急迫症状、知覚過敏などの症状を緩和して、他の薬物の作用を穏かにするために他の生薬と配合した漢方薬が多くあります。

胃痙攣・子宮痙攣などの鎮痛には、大棗の配合された甘麦大棗湯(かんばくだいそうとう)があります。これは、神経の興奮をしずめ、不眠、小児の夜泣きにも少量を用います。大棗を煎じる場合は、利尿・咳止め・精神安定・不眠症・健胃・鎮痛などに果実20個程度を水約1リットルで半量に煎じて食前に3回に服用します。

ナツメの種子は、神経衰弱、不眠症、鎮痛、強壮などに30gを水0.5リットルで半量まで煎じて就寝前に服用します。また、生の果実をそのまま食べても、湯通ししてから乾燥したものを食べても薬効は同様とされています。

一般に咽喉癌、口腔癌、肺癌の治療に用いられていて無花果(イチジク)60gと蜜棗2個に水0.5リットルを加えて煎じ、服用します。または、その煎じ液で嗽をするとされます。

◆造り方

滋養と強壮には、大棗酒が効きます。ホワイトリカ1.8リットルに大棗300g、グラニュー糖150gを漬けます。大棗は細かく切って、3ヶ月以上冷暗所において布でこしてから、1日30mlを限度に就寝前に飲用します。