第30章 いびき〔周囲の迷惑ですが危険性あり〕 

◆いびき:怖い病気が隠れていることも

家族や友人から「うるさい」と指摘されるほどの「いびき」の場合は、なんらかの病気が原因で起こるケースが多く、放置しておくと睡眠時無呼吸症候群を引き起こします。いびき治療について説明します。

<原因と症状>いびきには2種類ある

いびきとは睡眠時の呼吸に伴う雑音のことです。睡眠中は全身の筋肉が緩み、舌を含むのどの周りの筋肉も緩みます。寝ることで重力が下に落ち込み、気道がより狭くなり、そこに空気が通ると周囲の組織が振動していびきが起こります。

①単純性いびき
鼻づまりや疲労、飲酒、風邪などが原因の一時的ないびき。原因を取り除けばいびきは解消します。
②睡眠時無呼吸を伴ういびき
常時いびきがあり、他人から指摘されるほどの騒音。放置しておくと睡眠時無呼吸は悪化し、様々な重病を合併し、交通事故を起こしやすくなります。生存率、つまり寿命にも関係すると言われています。

◆睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome 以下SAS)

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が停止する状態(無呼吸)や止まりかける状態(低呼吸)が何度も繰り返される病気です。一般に、無呼吸・低呼吸が1時間に5回以上認められます。呼吸が止まるたびに脳が短時間覚醒するため、眠りが浅くなってしまいます。

そのため、起床時の頭痛、日中の強い眠気や疲労感、集中力・記憶力の低下などの自覚症状が現れます。その他の症状としては、不眠、夜間頻尿、寝相が悪いなどがあります。SASの原因は、肥満による首回りの脂肪の沈着、扁桃腺肥大、アデノイド、気道へ舌が落ち込む、舌が大きい、鼻が曲がっているなどが挙げられます。

欧米人では肥満者が多い一方、日本人ではやせ型の患者さんも多いのが特徴です。これは、顎が小さいという骨格の影響があるといわれています。

◆SASは寿命を縮ませる怖い病気

重症のSASは死亡率を約4倍に上昇させるというほど、寿命に関係します。まず、日中の強い眠気が、居眠り運転や労働災害につながります。2003年に起きた新幹線の運転士さんの居眠り運転による事故は、SASが原因であることがわかっています。更に、SASと生活習慣病の関係が明らかになっています。また、睡眠中に呼吸が止まると、血液中の酸素が不足し、動脈硬化や不整脈の原因になります。

熟睡できないことで血圧や血糖値の上昇を招いたり、新陳代謝に異常をきたすため、肥満する傾向があり、結果として生活習慣病のリスクが高まります。実際、SASの患者さんの中には、高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病などを合併していることも多いのです。

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