第6章 癌治療の最前線〔癌より怖い糖尿病〕 

<全米で2万人の医師が実践する癌治療>

古くからビタミンCには抗酸化作用がある、ということで知られていました。抗酸化作用は身体の酸化を抑える作用のことで、老化防止や病気予防に役立つとされています。このビタミンCに抗酸化作用があると発表したのは、ノーベル化学賞を受賞したライナス・ポーリング博士です。後に彼はイギリスの外科医ユアン・キャメロンとともに、『癌とビタミンC』という 一般書を発表して“静脈内投与による高濃度ビタミンCは、癌細胞に対して抗癌作用を持つという内容で、ビタミンCの抗癌作用を実証した画期的な論文だったのです。

ライナス・ポーリング博士が亡くなって10年以上を経た2005年にカナダの研究者の手によって高濃度ビタミンC点滴療法が発表されました。米国科学アカデミー紀要に『ビタミンCは選択的に癌細胞を殺す』という衝撃的なタイトルで、紹介されることになったのです。

その後、アメリカ3大ネットワークであるABCニュースやCBSなどの大手メディアが、高濃度ビタミンC点滴を特番で報道、更にFDA(米国食品医薬品局)はCTCA(米国癌治療センター)に対して、ビタミンCの臨床試験を許可させることになったのです。今や高濃度ビタミンC点滴は、全米で2万人以上の医師が実践する癌治療となっています。

<癌細胞にだけ毒性として働くビタミンC>

ではなぜ“ビタミンCは選択的に癌細胞を殺す”のでしょうか。それはビタミンCが“癌細胞に対してだけ毒性として働く”からです。ビタミンCは酸化されることで強力な抗酸化作用を発揮しますが、その際に大量の過酸化水素が発生します。

仮に血中にビタミンCを投与した時、正常な細胞は過酸化水素を中和できますが、癌細胞はこれを中和できず死んでしまうのです。つまりビタミンCは癌細胞にとって〈抗癌剤〉として作用すると捉えることができます。具体的にビタミンCには以下のような働きがあるのです。

◆高濃度ビタミンC点滴を受ける前の検査

ちなみに高濃度ビタミンC点滴は、腎臓機能の低い方や栄養状態の悪い方、脱水症状の方、現在透析中の方、などは治療を受けることができません。また仮に高濃度ビタミンC点滴療法を受けるとしたら、G6PD異常症スクリーニング検査を受ける必要があります。これは赤血球膜G6PD活性の測定をするものです。G6PD異常症というのは、伴性劣性遺伝を示す家 族性溶血性貧血で、アフリカ系の黒人を中心に世界で数億人いるといわれています。日本では少ないとはいえ、全体の0.1~0.5%の方がG6PD異常症といわれているようです。

G6PD異常症は、25g以上の高濃度ビタミンC点滴で溶血性貧血発作の危険があるので、事前に検査が必要になります。しかし日本では検査がなかなかできませんでした。その後2008年夏に点滴療法研究会で検査キットが開発され、より安全に高濃度ビタミンC点滴を施行できるようになりました。

また病院によっては、治療開始前にこのスクリーニング検査とその他一般的な血液検査(血計、生化学、腫瘍マーカー等)を、初回来院時に施行しているところもあります。まずは高濃度ビタミンC点滴療法を行なっている病院に、どのような検査を行なっているか確認してみて下さい。最近では、この高濃度ビタミンC点滴法を近所の医院でも可能な場合があります。確 認して近所の医院での治療も良いでしょう。

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