第2節 健診と検診〔検査項目などの相違〕 

前ページ 次ページ

◆混同して使用されることも多い「健診」と「検診」の違いとは?

健診とは、健康診断のことを意味し、健康であるか否かを確かめるものです。つまり、その確認をするために、「病気の危険因子」があるか否かを見ていくものであり、そもそも「特定の病気」を発見していくものではありません。

もし、健診の結果、問題なければそれは当然いいことであり、その健診は有効だったということになります。受診率を上げ、その結果、健康な人が多くなれば、それに越したことはないわけです。しかし、運悪く病気の危険因子が見つかり、リスクがあると判明した場合には、生活習慣を改善して健康管理に努めなければなりません。予防医学には病気の発生そのものを予 防する「一次予防」の段階がありますが、健診はこの一次予防とリンクすると考えられます。ちなみに人間ドックもこの健診に含まれます。

一方、検診は、特定の病気を早期に発見し、早期に治療することを目的としています。つまり、予防医学の「二次予防」にあたるもので、健診とは目的が大きく異なります。例えば、乳癌検診や子宮頸癌検診などの「癌検診」は、検診の代表例として挙げられます。

ちなみに厚生労働省が公表している「国民生活基礎調査(3年に1度実施)」のデータを基に国立癌研究センターがまとめた各種癌検診の受診率(2013年)を見てみると、「胃癌39.6%」「肺癌42.3%」「大腸癌37.9%」「子宮頸癌42.1%」「乳癌43.4%」のなっており、自治体による検診の無料クーポンの配布、厚生労働省による啓発活動の成果もあったのか、ようやく平均で40%台に到達しました。

◆健診の種類のその実施目的

健康診断は法律で実施が義務付けられているものと、任意で行うものに分類できます。前者の代表は、40~74歳の公的医療保険加入者を対象とする特定健診(特定健康診査)をはじめ、学校健診、職場健診などがあります。任意で行う健康診断として人間ドックが挙げられます。

・特定健診、保健指導

生活習慣病対策では、発症リスクの高い人を健診で早めに発見し、生活習慣の改善に向けた取り組みを早い段階でスタートすることで生活習慣病を予防することが大切です。その目的のために高齢者医療確保法に基づいて、平成20年に導入されたのが「特定健診」です。なかでも腹囲85cm以上の男性は、90㎝以上の女性は注意です。メタボリックシンドロームとその予備軍 の早期発見を重視した検査項目となっているのが大きな特徴です。

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満と高血糖、脂質異常、高血圧が合併した状態で、放置していると動脈硬化が促進し、最終的には心筋梗塞や狭心症、脳卒中などを引き起こす危険があります。腹囲、中性脂肪、コレステロール、空腹時血糖、血圧測定などの検査の結果、生活習慣病の予備軍と判定された場合、その対象者の発症リスクに合わせて、医師や保 健士、管理栄養士などが食生活や運動週間についてのアドバイスを行う「特定保健指導」が実施されます。

特定健診の対象者には、現在加入して、健康保険証を受け取っている機関である医療保険者から、「特定健康診査受診表」と「特定保健指導利用券」が、受診先の健診機関の案内とあわせて郵送されてきます。健診を受けて生活習慣病の予防することは、現在の健康状態を確認し将来の病気を予防することにもなりますので、必ず受診しましょう。

・職場健診

企業の従業員などを対象に、事業主が費用を負担する形で行う健康診断のことで、労働安全衛生法でその実施が定められています。同法では、健診の結果を必ず本人に通知して、個人票に記録して5年間保存することを求めています。年に1回実施される定期健康診断は「常時雇用している人」が対象となっていますが、正社員だけでなく、パートやアルバイトでも1週間 の所定労働時間が同種の業務を行う正社員の3/4以上となる場合は対象となります。職場ではその他にも、新規雇用者、海外派遣予定者、6ヶ月以上の海外派遣からの帰国者を対象に行う健診などが実施されています。

・学校健診

学校保健安全法でその実施が定められており、身長、体重、栄養状態、視力、聴力、目の疾患・耳鼻咽頭の疾患・皮膚疾患・心臓疾患などの有無などを調べます。上記の職場健診と実施時期が重なるので、健診センターや医療機関は健診アルバイトの医師募集を行って繁忙期に対応したり、性の受診者への配慮から、女性医師を積極的に募集している施設も増えました。

・人間ドック

自覚症状に関係なく病院や健診センターで、身体各部位の検査を受けて、臓器の異常や病気の有無を調べる一種の健康診断です。中高年の方は年1回、2年に1回などの定期的な間隔で受診します。人間ドックは任意の受診であるため、企業指定以外は総て自己負担となります。

◆健康診断を毎年したほうがいい2つの理由

①期発見と早期治療ができると病気は怖くない

健康診断の目的は身体の異常を早期に発見し、早期の治療につなげることです。基準値ではない数値を知ることで、事前に病気を予防できますし、仮に病気が発症していても、初期であれば改善できない病気はありません。

今まで自分の感覚だけが頼りだった健康状態を、健康診断でははっきりと数値化させることができます。日常的に健康だと感じていても実は不健康だったり、病気の前兆が潜んでいるかもしれません。たいていは風邪などで寝込んだときにのみ「心身ともに健康に過ごせるということは素晴らしい」と感じるくらいです。そのため、健康診断とは普段は客観視できない体調不良や体質改善をあえて認識して、日常生活を見直すきっかけにもなります。

②過去の自分と比較することで変化がわかる

定期的に健康診断をする理由は子供であれば年齢相応の発育、大人であれば年齢的な体質を診ることになります。その健康診断における基準値は日本人の平均値に基づいていますが、あくまで他人のデータの蓄積ですので、実は自分が健康にも関わらず、平均からはずれてしまうケースもあります。だからこそ、定期的な健康診断を継続することで、変化の仕方から過去の自分と比較して判断することが大切です。毎年、しっかり定期健康診断を受け続けましょう。

◆日本人に多い生活習慣病に気をつける

健康診断で最も指摘を受ける病気が生活習慣病です。生活習慣病とは毎日の望ましくない生活の積み重ねで誘発する病気の総称であり、日本人の死因は50%以上がこの生活習慣病に関連しています。軽度であれば、高血圧や脂質異常症など血管が詰まり易い状態に留まりますが、主に摂取カロリーのダウンと消費カロリーのアップで数値が改善します。

しかし、重度になると脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まってしまいます。生活習慣病には、糖尿病や脳梗塞といった代表的な16種の病気があり、更に骨粗鬆症や月経異常、癌も生活習慣と深く関連しているため、これらも生活習慣病の一種と定めている医療機関も多いです。

前ページ 次ページ