第3節 尿トラブルの原因〔歳のせいにしないで〕 

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<過活動膀胱以外の尿のトラブルの原因>

過活動膀胱と似た尿のトラブルを起こす病気として、腹圧性尿失禁や感染症や子宮の病気そして癌が想定されます。

  • ①腹圧性尿失禁
  • ②膀胱癌
  • ③感染症(膀胱炎や尿道炎など)
  • ④心因性の頻尿(神経性頻尿)
  • ⑤膀胱結石
  • ⑥子宮内膜症

①腹圧性尿失禁

尿道などを支えている骨盤底筋などの働きが弱くなることで尿道をうまく締められなくなり尿漏れを起こす病気です。過活動膀胱と腹圧性尿失禁の両方の症状が見られる方もいます。

<症状>
次の様な強い腹圧が掛る動作をした時に尿が漏れてしまいます。
  • 咳をする、クシャミをする、笑う
  • 走る、テニスやゴルフなどのスポーツをする
  • 重いものを持ち上げる
  • 坂道や階段を昇り降りする
<患者さんの数>
40歳以上の女性の8人に1人が、腹圧性尿失禁の症状を経験しています。特に、出産経験のある女性に多く見られます。
<原因>
お腹に強い力(腹圧)が掛った場合に「骨盤底筋」と言う筋肉が、膀胱と尿道を支える事で尿道が締まり、尿が漏れるのを防いでくれます。
ところが、この腹圧性尿失禁では、この骨盤底筋が弱くなったり傷んだりすることで、尿道をうまく締められなくなり、尿漏れを起こします。加齢や出産それと女性ホルモン低下が関係しています。
<投薬治療>
尿道を締める働きがある薬を用います。
<手術による治療>
尿道スリング手術(尿道を吊り上げる方法)などがあります。

②膀胱癌

膀胱に出来る癌で、痛みを伴わない血尿、頻尿、排尿時の痛み、残尿感などが見られます。

③感染症(膀胱炎や尿道炎など)

尿道から細菌が入って炎症が起こる病気です。頻尿や尿意切迫感の他に、発熱や排尿痛などが見られます。

④心因性の頻尿(神経性頻尿)

精神的な問題が原因で、頻尿や尿意切迫感が起こる場合があります。「トイレの事を心配すると尿意を感じる」とか「緊張した時にトイレに行きたくなる」などが、その1例です。

⑤膀胱結石

膀胱内に結石(尿の中のカルシウムやシュウ酸等が固まったもの)が出来る病気です。頻尿の他に、血尿や排尿痛があります。

⑥子宮内膜症

子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所に出来る病気です。頻尿の他に、下腹部痛や排尿痛などが起こります。

過活動膀胱について、皆さんの疑問や不安について:

◆トイレが近いのは歳のせいで、治療しても治らないのではないでしょうか?
過活動膀胱には、歳をとることで起きてくる神経の異常が関係する事があります。実際には年齢の高い人ほど過活動膀胱の方は多くなります。しかし、歳をとった方が皆さんか活動膀胱になるわけでは有りません。原因に合った治療をすれば歳をとった人でも多くの方が症状を緩和できます。歳のせいと諦めずにぜひ、医師にご相談下さい。
◆病院や診療所に行ったら色んな検査をされますか?
過活動膀胱の可能性がある場合には、病院や診療所では、先ず問診や質問票を使った診察が行われます。他の病気でないことを確かめるために、尿検査や超音波検査やX線検査などの簡単な検査を行うこともあります。これらの検査は、特に身体への負担の少ない検査なので心配要りません。必要に応じて詳細な検査が行われる場合もあります。
◆手術が必要になる事はありますか?
過活動膀胱の治療で手術が必要になる事は、まずありません。でも薬による治療と膀胱訓練や骨盤底筋訓練などを続ければ、多くの人は症状が軽くなります。腹圧性尿失禁を併せもっていて、薬などの治療で良く成らない時には、手術を考慮する事もあります。
◆薬を使わずに過活動膀胱を治すことは出来ませんか?
アルコールや刺激の強い食べ物を控え、寝る前の水分の摂り過ぎに注意しましょう。一方で便秘にならないように気を付けることも大切です。
適度な運動を心掛けて、クーラーなどで体(特に下半身)を冷やさないようにしましょう。おしっこを我慢し過ぎるのも良くありません。但し、これらは日常生活上での注意だけで、症状を総て改善できるわけではありません。
膀胱訓練や骨盤底筋訓練(後述)を行う事を勧めます。しかし、この訓練だけで症状を総て治すのは難しいでしょう。通常は薬による治療と一緒に行います。過活動膀胱では、薬による治療が一般的です。医療機関で処方される薬には、効果のある抗コリン薬やβ3作動薬などがあります。症状にお悩みの場合には、先ず医師にご相談下さい。
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