第2節 メタボリックシンドローム〔肥満度の新尺度〕 

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近年、レプチン、アディポネクチンなど脂肪細胞から分泌される物質が明らかになり、これらが肥満に関連する、いわれています。レプチンは食欲を抑えるホルモンで、肥満している人はこのホルモンがうまく働かなくなっていると考えられています。また、アディポネクチンは肥満で減少するといわれています。

様々な健康番組だけでなくテレビのニュースでも、新聞や雑誌などメディアがよく取り上げています。しかし、よく聞く言葉だけれども内容についてよく知らない方も多い様子です。日本人の死亡の3大死因である「ガン」「脳卒中」「心臓病」のうち、「脳卒中」「心臓病」を引き起こす原因は「動脈硬化」であるといわれています。この動脈硬化と深く関係しているの がメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)なのです。

<メタボリックシンドロームとは>

メタボリックシンドロームは、内臓に脂肪がたまり(腹部の肥満)、高血圧や高血糖、高脂血症などの症状が一度に複数出ることを指す新しい考え方です。「メタボリック」は「代謝」の意味で、代謝異常が起きていることを示します。

厚生労働省は初の全国調査で、40~74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人が「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」とその予備軍だったと発表しました。メタボリックシンドロームは心筋梗塞や脳卒中など、死に直結しやすい生活習慣病の引き金になります。

たとえ病気でなくとも、症状がなくても、また、病気の程度が軽くても放置しておくと将来脳や心臓の血管の病気を起こす確率は、メタボリック症候群でない人と比べて2~3倍高くなります。また、内臓の周りに脂肪がたまるメタボリックシンドロームに陥ると、動脈硬化や糖尿病だけでなく、胃癌のリスクも高まることが研究されています。

<メタボリックシンドロームの診断基準>

メタボリック症候群の診断基準はウエストが男性85cm以上、女性90cm以上(内臓脂肪の面積が100平方cm以上になっている目安)またはBMI値25以上が基準以上で、それに加え:

  • 中性脂肪(トリグリセライド)150mg/dl以上かつ/または善玉コレステロール(HDLコレステロール)40mg/dl未満
  • 収縮期血圧(上の血圧)130mmHg以上かつ/または拡張期血圧(下の血圧)85mmHg以上
  • 空腹時血糖110mg/dl以上

の脂質代謝、血圧、血糖の3項目のうち、2つ以上あてはまればメタボリック症候群です。

●メタボリック診断、職場でも義務化

国が健康保険法を改正したことで、厚生労働省は2008年度からメタボの予防と改善を目的とする新しい健診制度を導入する計画を打ち出し、健康保険組合にメタボ対策を義務付けました。

メタボの予防対策をしていない健保組合には国からの助成が出なくなるため、また、一定期間内の減少率が国の基準に達しなかった健保に対しては、事実上の「罰金」を課すといった、ペナルティまで検討されています。メタボ対策に今から動き出すところも出てきました。なぜ健康保険組合にメタボ対策を義務付けたのでしょうか。

それは、将来の医療費負担を抑えたいという狙いがあるようです。このままでは、医療費で国が財政的につぶれてしまうという恐れがあるのかもしれません。メタボリックとは、病気ではなく、本来生活改善をするきっかけとなるべきものです。その意味で「メタボリック健診」を行なうことは大変意義があると思います。

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