第4節 食中毒への対応〔健康管理講話より抜粋〕
各種の食中毒の症状、経過、応急処置、治療について簡単に述べる。
<症状のチェックポイント>
- ①食中毒以外の消化器系障害ではないか?
- ②赤痢やコレラ等の法定伝染病ではないか?
- ③原因食は何であったか?いつ摂取したか?(生牡蠣の時間経過の場合もある)
- ④原因物質として何が考えられるか?(タラバガニは蟹ではなくヤドカリの仲間で毒)
- ⑤循環器系障害を起こしていないか?
- ⑥麻痺は無いか?血圧はどうか?
<何を調べるか>
- ①全身状態の検査(血圧、脈拍数、体温、呼吸数、チアノーゼ有無、脱水症状有無、等)
- ②便の検査 (便秘の有無、下痢の有無、回数、検便)
- ③尿の検査
- ④嘔吐物の検査
- ⑤血液検査
- ⑥神経系統の検査
- ⑦原因食の検査
<食中毒の症状>
どんな毒素が影響しているかは問診などで原因食を探しますが、主な症状を掲げます。急性胃腸炎に類似、39度以上の発熱、腰痛、関節痛、眩暈、精神不安定、麻痺、嘔吐、吐き気意識障害、下痢、脱水、呼吸障害など様々であり、危険なので早急に医師に掛かることです。
<応急処置>
- ①輸液(水分補給、ショック症状への治療と防止)
- ②強心剤注射(循環障害、特に心筋障害に対して)
- ③抗毒素血清注射(ボツリヌス菌中毒時)
- ④人工呼吸(フグ中毒等による呼吸障害がある時)
- ⑤抗生物質投与(食中毒患者の嘔吐の見られない早期に)
冷蔵庫内で細菌は繁殖しないわけではなく、5℃~10℃では殆ど増えません。高温と共に増殖し、外気温30℃の場所では半日で食中毒量まで細菌が増殖します。菌は。煮沸消毒の直後ならともかく、普通の状態で細菌数0はありません。多少は付着しているものです。ブドウ球菌は何処に出も生存していますから、帰宅後のうがい手洗いは習慣化して欲しいものです。要は冷蔵庫を過信しないことです。
食品の保存には、冷凍、冷温、乾燥、清潔、完全包装、煮沸に心掛けて下さい。調理器具は使用の都度に清潔、清拭、乾燥を心掛けて下さい。腸ビブリオ菌は好塩菌とも呼ばれ、塩分のない場所では生きてゆけません。従って、海産物には付着している、と考えて欲しいのです。食用にする場合には、出来る限り煮るか水洗いをすることが必要です。また、水洗い前に霜などが他の食品に付着しないように注意して下さい。
食品調理者が感染症(化膿性の炎症)の場合には、調理を避けて欲しいものです。どうしても調理する場合には、患部を完全に被覆するようにゴム手袋や指サックなどで被い、食品に直接触らない様にして下さい。それはブドウ球菌が直ぐに伝染するからです。清潔と衛生の観念が極めて重要ですから、咳やクシャミも要注意です。