第3節 操體術の準備と注意点〔動かして診るときのコツ〕
中国の伝統的医学思想の『未病(病気になる前の状態)を癒す』と言うことが、現代医学の課題となっています。操體術では、気功の思想とも似ており、予防医学または回復医学とも言われ、次に示す基本的な考え方で成り立っています。
- 1) 自分で行う運動であるが、筋肉などを鍛えるのではなく歪みを除く。
- 2) 医療運動ないし手技である。
- 3) 体の自然治癒力を尊重する。
- 4) 歪みを知るための動作診察をして、痛い運動や不愉快な運動をしない。
- 5) 陰陽のバランスをとることで治癒する。
- 6) 緊張と弛緩とのリズムを利用する。
- 7) 症状を特定の内臓に頼らず体全体のバランスを回復させて治癒する。
- 8) 骨格の歪みを矯正することで症状を治癒する。
簡単に整理すると操體術の基本思想は:
『快/不快を判断し、バランスを診て、快方向へ動作かす時に軽く抵抗する運動』
患者さんの症状を体の動作から診て『快/不快』を確認することが重要です。そこで、人の体を動かして診るには:
人体の8種類動作 | 前屈曲 | 前の方向に動かす |
後屈曲 | 後の方向に動かす | |
左屈曲 | 左の方向に動かす | |
右屈曲 | 右の方向に動かす | |
左捻転 | 左の方向に捻る | |
右捻転 | 右の方向に捻る | |
弛緩 | 伸ばす | |
収縮 | 縮める |
これらの人体各部の運動機能を利用して、患者さんのバランスを観察します。そして、確実に診て欲しいのは、『快い動作、痛みの無い動作、快適な動作』の方向へ対して『手当て』の手技を使用すことが大切です。
患者さんの痛みを感じて『意識』と『意念』とを利用して治療して下さい。