第2節 体内で発生する「活性酸素」〔どんな時に発生するのか〕 

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1.環境の物質に刺激された場合

私達の身の回りには、様々な大気汚染物質 薬物 有機化合物 重金属、などが存在しています。それらが体内に入ってくると、その刺激で活性酸素が発生します。大気汚染物質とては自動車の排気ガスなどに含まれる二酸化窒素とオゾンが、活性酸素の発生に特に深い関係を持っています。

最近、騒がれている酸性雨もこういった大気汚染物質が植物に作用して、活性酸素の障害作用によって植物を枯死させているのです。

薬物は実に多様な種類の物が活性酸素を発生させます。この他に食品添加物、農薬、殺虫剤なども活性酸素の原因となります。

活性酸素は、それ自体が生体に毒として働き、細胞を破壊して障害する作用があり、この毒性を利用した除草剤がパラコートという農薬です。パラコートはひところ世間を騒がせた毒入りドリンク事件に使われた農薬です。パラコートはそれ自体では人の命を奪う様な毒性をもつ化学構造をしていません。しかし、その中毒は非常に予後が悪いことから医者泣かせ、といわれてきました。

これは、パラコートが体内に入ると活性酸素を大量に発生させ、その活性酸素によって肺などの細胞がやられて呼吸困難になり、結局は死に到るからです。この事からも、活性酸素がいかに激しい毒性を持っているかが解るでしょう。

2.放射線や紫外線の影響の場合

放射線や紫外線にさらされると活性酸素が発生します。これらは、それ自体が直接的に体を障害するほか活性酸素を発生させることによって二重に体を傷めるのです。

日光を浴び続けると、肌の衰えを促進しますが、その原因には活性酸素が関与しています。またタバコなども活性酸素を発生させます。

3.虚血が生じた場合

虚血というのは、何らかの原因で体の組織に血液不足の状態が生じた事をいいます。例えば脳や心臓の血管が詰まる脳梗塞や心筋梗塞の時には、虚血状態になった血管の中にキサンチンオキシターゼという酵素が増え、その影響で大量の活性酸素が発生して、傷んだ組織の破壊を 更に酷くするのです。

一度詰まって血流が再開した時、また臓器移植や心臓手術の時には、活性酸素の洪水といわれる程に大量の活性酸素が生成します。こういった手術のとき以外にも、組織や臓器が一時的に虚血状態になる時があります。例えば、激しい運動をした時は、筋肉が大量の酸素を消費します。心臓も疲労して血液の供給が減るので、組織は一時的に酸素が不足の状態になります。すると、やはり活性酸素が発生するのです。

急性心筋梗塞になって冠動脈形成手術を受けると、術後の48時間がベッド上安静で寝返りすらも危険になります。これは巨大な不整脈を引き起こして、その不整脈で心臓まで停止させられる危険性があるので安静が必須なのです。

4.細菌に感染した場合

細菌に感染すると、体は白血球などの貪食細胞といわれる防衛兵士を動員して防戦に努めます。この時に細胞をやっつける武器となるのが活性酸素です。つまり、活性酸素の毒性を利用して細菌を攻撃するのです。以前使用されていた消毒薬のオキシフルも実はこの活性酸素の毒性を殺菌に利用したものでした。(白血球は活性酸素を運搬して、細菌に掛ける役目です)

ところが「過ぎたるは及ばざるが如し」で、防衛の必要を越えて活性酸素が大量に発生すると体に様々な障害が起きてきます。白血球が細菌を探し回って疲れ果てて活性酸素を捨てる。

5.ストレスに晒された場合

ストレスは精神的な物、肉体的な物、どちらの場合も活性酸素の発生原因になります。ネズミを数時間、水に浸してストレスを与えると、胃に病変が起きます。それと同時に、活性酸素が発生していることを示すTBAという物質が著しく増えて来ます。

これは恐怖といった心理的な作用がストレスを生じさせた例ですが、その他に低温や高温や騒音や匂い、などもストレスを生じます。人間では、働き過ぎ、人間関係の葛藤、不安、心配、焦り、などもストレス源となり、体内で活性酸素を発生させていると考えられます。

以上に述べた様に現代社会は、環境に拡散する有害物質をみても、社会生活上の葛藤面をみても活性酸素発生の要因に取り囲まれていると言っても過言ではありません。この害をどのようにして減少させるかは健康で若々しい人生を築いて行く上で大きな課題になっている、といえます。(ストレスが多くの病気を誘発するので注意しましょう)

■まとめ(フリーラジカルを生成する環境因子)■

大気汚染物質二酸化窒素、オゾン、など
薬物麻酔剤ハロセン
抗癌剤アドリアマイシン(ドキソルビシン),ダウノルビシン,マイトマイシン-C,プレオ
解熱・鎮痛・抗炎症剤アセトアミノフェン(パラセタモール),アミノピリン,アスピリン
抗菌剤ニトロフラントイン
抗結核剤イソニアジド,イプロニアジド
抗生物質マイトマイシン-C,クロラムフェニコール
精神安定剤クロルプロマジン
抗原虫剤メトロニダゾール
その他四塩化炭素,エタノール,フェニルヒドラジン,プロモベンゼン,DDT
光線放射線・紫外線
有機化合物ポリ塩化ビフェニル(PCB),ダイオキシン(TCDD),トリクロロエチレン
重金属カドミュウム,マンガン,クロム,コバルト,水銀 鉛,銅,鉄,亜鉛