第4節 不飽和脂肪酸と健康〔EPAとDHAとは何か〕 

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EPAとはエイコサペンタエン酸の略称で、主にイワシ(鰯)やサバ(鯖)などの青い魚の油に含まれている『不飽和脂肪酸』のことです。グリーンランドに住むイヌイットは水産動物を主食としている民族ですが、心筋梗塞や脳梗塞などの成人病が昔から極めて少ないことで知られています。

デンマーク国オールボア病院のダイエルベルグ博士らは、この事実に着目して欧米人とイヌイットとの違いは、従来の遺伝的なものではなく、イニイットは魚から、欧米人は畜産動物から、それぞれ油を摂る食事の違いに因るものである事を発見しました。そして、魚の油の中でEPAと呼ばれる『不飽和脂肪酸』が成人病を防止している事を発表しました。(注1)

■EPAの作用と効果

最近、EPAは種々の注目すべき作用と働きが分かっています。

  • 血液中の中性脂肪値を下げる(注2)
    → EPAには動脈硬化の原因となる中性脂肪値を下げる効果があります。
  • 血液中の総コレステロール値を下げる(注3)
    → 悪玉コレステロールを減らす作用で、善玉コレステロールが増加して、動脈硬化にしにくくする効果があります。
    悪玉コレステロール:LDLやVLDLコレステロール
    善玉コレステロール:HDLコレステロール
  • 血液を固まりにくくする(注1)
    → 血液の凝結を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞を起こす血栓を作らせない働きをします。
  • 血液の粘度を下げる(注4)
    → 血液の粘度を下げる働きがありますので血液がサラサラして、流れ易くなるのです。
  • 赤血球の形を変え易くする(注4)
    → 人の健康に大切な酸素を身体の隅々まで運ぶ役目をしている赤血球は、血管の細い部分でも自分の形を変えながら通って行きます。EPAはこの赤血球の形を変え易くする働きがあるので、酸素が身体の隅々まで行き渡ります。

参考文献

(注1)
J.Dyerberget althe LancetJuly 15117-119('1978)
(注2)
W.E.Connoret alBlood58(5)880-885('1981)
(注3)
H.Orimoet alAtherosclerosis4771-75('1983)
(注4)
田村 泰 他、日本薬学会第103年会

また、EPAと並ぶDHAが注目されています。DHAとはドコサヘキサエン酸の略称で、これも『不飽和脂肪酸』の一種です。EPAと同などの働きをし、学者によってはむしろ「EPAよりも強力に作用する」と言う人もいます。

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