第44章 網膜剥離〔光を感じなかったり像が映らなくなる〕

インデックス 第1節 網膜剥離の種類〔剥離の原因も様々です〕  | 第2節 網膜剥離の検査〔手術せねば完治しません〕  | 第3節 手術後の注意など〔日常生活でも慎重に〕

◆網膜とは?(網膜の役割

2節図3
◆眼の水平断面図

網膜はモノを見るための重要な役割を担つています。網膜は眼の奥にある厚さ約0.1~0.4ミリの薄い膜です。モノを見る重要な部分で、10層に分かれています。内側の9層は神経網膜といい、外側の1層は網膜色素上皮細胞といいます。神経網膜には、光を感じる細胞が並んでいます。

網膜の中で一番重要な部分は中央にある黄斑部です。黄斑部には、視力や色の識別に関係している細胞があります。

◆硝子体とは?

硝子体は、細かい線維でできたゲル状の透明な物質で,眼球の中に満たされています。光が通りやすく,眼の形を保つのに役立っています。

◆モノが見える仕組み

2節図3
◆眼の水平断面図

網膜はカメラに例えればフイルムの役割を果たしています。モノを見るとき、光は角膜を通って瞳孔から眼球内に人ります。水晶体で屈折されたあと硝子体を通り、網膜に到達します。このとき網膜で感じとられた光の刺激が視神経を通って脳に伝えられて「見える」と認識されます。つまり網膜は、カメラに例えるとフイルムのような役割を果たしているといえます。


  • 第1節 網膜剥離の種類〔剥離の原因も様々です〕

    ◆網膜剥離とは?

    2節図3

    網膜が剥がれることを網膜剥離といいます。網膜色素上皮細胞と神経網膜の接着は弱いので何らかの原因で神経網膜が網膜色素上皮細胞から剥がれて、硝子体の中に浮き上がってしまうことがあります。これが網膜剥離です。

    網膜剥離は、裂孔原性網膜剥離と呼ばれ、網膜に裂孔(裂け目)を伴うものが一般的 です。

    <裂孔原性網膜剥離>

    眼球の中の硝子体は、中高年になると、液化硝子体と呼ばれる水の部分ができて、眼球の動きと共に硝子体が眼球内で揺れ動くようになります。(後部硝子体剥離の項)硝子体と網膜が強く癒着している部分があると、眼球の動きで網膜が引っ張られ裂孔ができてしまいます。

    その裂孔から液化硝子体が網膜下に入り込むと、網模が剥がれてしまいます。これが裂孔原性網膜剥離です。また、ボールが目に当たるなど強い力が目に加わっ、て網膜が剥離してしまう外傷性網膜剥離も裂孔原性網膜剥離の一つです。

    <その他の網膜剥離>

    糖尿病網膜症では、出血しやすい血管を含んだ膜が網膜の上にできます。この膜が収縮して網膜を引っ張ると網膜が剥離してしまいます。(牽引性網膜剥離)

    ぶどう膜に炎症があったり眼内腫場などがあると、網膜血管や脈絡膜から血液中の水分が滲み出し、網膜下にたまって網膜が剥離することがあります。(続発性網膜剥離)

    このような場合、原因となっている疾患の治療を行います。

  • 第2節 網膜剥離の検査〔手術せねば完治しません〕

    ◆網膜剥離の検査

    ・飛蚊症
    黒い点やゴミのようなものがみえる
    ・光視症
    眼の中でピカピカと光ってみえる
    ・視野欠損
    見ているものの一部部がみえない
    ・視力低下
    見たいものがはっきりみえない

    ◆間違えやすい症状~加齢に伴う眼の老化現象~

    <生理的飛蚊症>

    硝子体は歳をとると。線維の一部が濁ってきます。そして濁った部分が網膜に影を落とすことがあります。これは加齢による生理的な現象で、病気ではありません。だいたい60歳頃になると、約3割の人に飛蚊症が見られると言われています。

    しかし、黒い点の数が増えたり、視力が急に落ちた時には、出血や網膜剥離などが起こっている可能性があるので、直ぐに眼科の診察を受けて下さい。

    <後部硝子体剥離>

    子供の頃には硝子体が眼球の中に一杯詰まっていて、網膜との間には隙間がありません。ところが人によっては、歳を取るにつれて硝子体が液状に変化し、網膜から浮き上がってしまう場合があります。これを後部硝子体剥離と言います。

    後部硝子体剥離が起こる時に、網膜と硝子体の間に癒着があると、硝子体が網膜を引っ張ります。この時、光が走るように見えることがあります。この癒着が取れると、光が走らなくなります。 

    後部硝子体剥離自体は、一部の人に起きる正常な現象です。しかし、この癒着が強い場合、硝子体が網膜を強く引っ張り、網膜剥離を引き起こすことがあります。

    ◆網膜剥離の検査

    専門医の検査を受けて早期に発見しましょう。

    <眼底検査>
    2節図3 最も大切な検査は眼底検査です。これは、点眼薬で瞳孔を開き、眼底の様子を調べる検査です。硝子体出血などで眼底が見えない時には、超音波検査を行います。
    <視野検査>
    2節図3 見えない部分の位置を調べる検査です。見えない部分と病変の部分が対応しています。

    ◆網膜剥離の治療

    2節図3

    網膜剥離を治すには手術が必要です。その手術には次のようなものがあり、症状や剥離の進行状態によって、どの手術を行うかが決まります。

    <手術後におこる合併症(増殖性硝子体網膜症)>

    通常の網膜剥離の手術を行い、いったん治癒しても網膜の表面や裏に細胞が増殖して線維組織ができて、網膜剥離を起こすことがあります。非常に稀な経過です。増殖性硝子体網膜症に罹ると、手術を操り返し行わなければならないことがあります。


    ◆手術前・手術後の注意点~安静とリラツクスが大切です~

    <手術を受ける心構え>
    あまり動くと剥離が広がるおそれがあるので、手術を受けるまで安静にしましよう。ストレスを感じたり、むやみに心配したりして、精神的に緊張するのもよくありません。不安なことやわからないことがあれば、遠慮せずに担当医に相談し、心身共にリラックスして手術を受けるようにしましょう。
    <手術後の視力>
    通常の裂孔性網膜剥離は90%以上が手術的に再接着できます。剥離の範囲が小さく、剥離してから放置している期間が短いほど、手術後によい視力が得られる傾向にありますので、診断がついたら担当医の指示に従って速やかに手術を受けるようにしましょう。
  • 第3節 手術後の注意など〔日常生活でも慎重に〕

    <安静の期間と入院期間>

    手術の後は担当医の指示に従って安静にします。光凝固術の場合は、入院の必要はありません。その他の手術では 経過によりますが、約10日間程度で退院できることが多いです。

    • 光凝固術--------->入院せずに通院治療を行う
    • 網膜復位術-------->約1~2週間の入院
    • 硝子体手術-------->約1~3週間の入院

    <うつむき姿勢>

    硝子体手術の場合、眼内にガスを注入することがあります。ガスは軽いので、上方に向かう特性があります。うつむき姿勢を保って安静にすることで、ガスは網膜を元の位置に戻して、くっつける手助けをします。網膜がくっつくまでうつむき姿勢を保って安静にしましよう。

    ◆日常生活での注意点

    激しい運動と眼の使い過ぎを避けて下さい。

    <仕事や運動などの制限>

    手術後に眼を動かしても、手術の結果に大きな影響はありませんが,眼内の状態が落ちつくまでに1~3ケ月必要です。少なくとも術後1ケ月間は疲れない程度に眼を使用して下さい。事務や管理職の方は、手術後1ケ月目から、運転手や重労働の方は2ケ月ごろから仕事に復帰できます。

    日常生活でも術後1ケ月間は重いものを持ったり、走ったり、車の運転をすることなどを避けて下さい。