第41章 緑内障〔失明の大きな原因〕

インデックス 第1節 緑内障の症状〔手遅れにならない内に〕  | 第2節 緑内障の治療〔治療は継続的に務める〕  | 第3節 日常生活〔年に一度は眼科医へ〕

◆緑内障について

2節図3
~眼の水平断面図~

緑内障は、何らかの原因で視神経が障害されて、視野(見える範囲)が狭くなる病気で、眼圧の上昇がその病因の一つと言われています。血圧は良く話題になりますが、一般的に眼圧は最高血圧値の1割の値です。(最高血圧が120なら眼圧は12が適正でしょう)

◆房水と眼圧

目の中には血液のかわりとなって栄養などを運ぶ、房水とよばれる液体が流れています。この房水は毛様体でつくられ、シュレム管から排出されます。目の形状は、この房水の圧力によって保たれていて、これを眼圧と呼びます。眼圧は、時間や季節によって多少変動しますが、ほぼ一定の値を保っています。

◆緑内障の種類

緑内障にはいくつかの種類があります。眼?が高くなる原因によって主に原発緑内障、発達緑内障、続発緑内障に分けられます。原発緑内障はさらに開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障に分けられます。

・原発開放隅角緑内障
房水の出口である線維柱帯が徐々に目詰まりして眼圧が上昇します。ゆっくりと病気が進行していく慢性の病気です。
・正常眼圧緑内障
眼圧が正常範囲(10.21mmHg)にも関わらず緑内障になる人がいます。これを正常眼圧緑内障とよび、開放隅角緑内障に分類されます。近年行われた調査の結果から、緑内障の約7割が正常眼圧緑内障であり、また日本人に多いことがわかりました。
・原発閉塞隅角緑内障
隅角が狭くなり、塞がって房水の流れが妨げられ(線維柱帯が塞がれて)眼圧が上昇します。 慢性型と急性型があります。
・発達緑内障
生まれつき隅角が未発達であることからおこる緑内障です。
・続発緑内障
外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によって起こる緑内障です。
  • 第1節 緑内障の症状〔手遅れにならない内に〕

    ◆緑内障の症状

    一般的に緑内障では、自覚症状は殆ど無く、知らないうちに病気が進行していることが多くあります。視神経の障害はゆっくりとおこり、視野 (見える範囲)も少しずつ狭くなっていくため、目に異常を感じることはありません。

    なぜ視野が狭くなっているのに気付かないのか?それは脳が勝手に想像して像を描くからだと言われています。本当に視野が狭くなってからでは遅いのです。

    また、急性の緑内障では急激に眼圧が上昇し目の痛み、頭痛、吐き気など激しい症状をおこします。見掛けは脳梗塞や脳内出血の症状と勘違いされそうです。酷い場合には命にも係わります。時間が経つほど治りにくくなるので、このような急性閉塞隅角緑内障の発作がおきた場合はすぐに治療を行い、眼圧を下げる必要があります。

    ◆早期発見と早期治療

    2節図3

    多くの場合、自覚症状がない緑内障に対して、最も重要なことは早期発見と早期治療です。一度障害された視神経を元に戻す方法はありません。そこで病気の進行をくい止めることが目標となります。従って、出来るだけ早期に緑内障を発見し、治療を開始することが大切です。

    ◆緑内障の検査

    緑内障は、眼圧検査、眼底検査、視野検査などで診断されます。定期検診などでいずれかの検査で異常があった場合、必ずもう一度、眼科医の診察を受けるようにしましょう。健常者が一番恐れるのは失明でしょう!失明したくなかったら眼科医へ。

    <眼圧検査>
     直接、目の表面に測定器具を接近させて測定する方法と、目の表面に空気を当てて測定する  方法があります。緑内障管理のための最初の重要な検査です。
    <眼底検査>
     視神経の状態を診るために、視神経乳頭部を観察します。視神経が障害されている場合には  陥没(凹み)の形が正常に比べて変形して大きくなりますので、緑内障発見のための必須の  検査です。
    <視野検査>
     視野の欠損(見えない範囲)の存在や大きさから緑内障の進行具合を判定します。
  • 第2節 緑内障の治療〔治療は継続的に務める〕

    ◆緑内障の治療

    2節図3

    緑内障の治療は病気の進行をくい止めるため、眼圧を低くコントロールすることが最も有効とされています。治療法としては、薬物療法、レーザー治療や手術が一般的です。レーザー治療や手術を受けて眼圧が下降しても、その効果が維持されるとは限らず、再度手術を行う場合もあります。

    ①薬物療法
    眼圧を下げるために使われる薬は、主に房水の産生量を減らしたり、房水の流れをよくする薬です。まず点眼薬からはじめ、最初は1種類の薬で様子をみながら、途中で変更したり、また2~3種を併用することもあります。点眼薬だけでは効果が不十分な場合、内服案を併用することもあります。(点眼薬として有名なルミガンが認可されています)

    <点眼時の注意点>

    • 点眼回数と量を守りましょう(1回1滴で十分)
    • 点眼後は目頭を軽く押さえるようにしましょう
    • 2つ以上の目薬を点眼するときは、5分程度間隔をあけるようにしましょう
    ②レーザー治療
    レーザーを虹彩にあてて穴を開けたり、線維柱帯にあてて房水の流出を促進します。比較的安全で痛みもなく、入院の必要もありません。
    ③外科的手術
    房水の流れを妨げている部分を切開し流路をつくって房水を流れ易くする方法や、毛様体での房水の産生を押さえる方法などがあります。

  • 第3節 日常生活〔年に一度は眼科医へ〕

    ◆日常生活で気をつけること

    日常生活で特に気をつけることはありません。 医師の指示を守り、健康的で無理のない規則正しい生活を心がけましよう。

    殆どの緑内障は自覚症状がなく、病気であることや進行していることに気づかないことが多いので、定期的に眼科を受診しましよう。

    治療のための点眼薬や内服薬によって副作用が現れることがあります。目に異常を感じたり全身に何か変わった症状が出たときには、すぐに医師に相談しましよう。

    ◆大切な目を守る

    年に1回は定期検診を受けましょう。多治見市で2000~2001年に一般市民を対象として緑内障疫学調査が実施されたそうです。その結果:緑内障の患者は5%(20人に1人)と、予想以上に多いことがわかりました。また、両内相に患者さんの内で90%は自分で気付いていませんでした。

    緑内障は、日本を含め諸外国でも、失明原因の上位に位置します。悪化する前にできるだけ早期に発見して治療を開始することが大切です。

    ◆禁忌事項

    ・うつ伏せ:読書やスマホを操作。寝る際の体制。
    水晶体が前方に傾き、隅角(線維柱帯やシュレム管)が圧迫され眼圧が高くなります。
    ・暗い場所での作業:暗視作業。電気を付けずにスマホ。
    瞳孔が広がり隅角(線維柱帯やシュレム管)が圧迫され眼圧が高くなります。
    ・ストレス:情緒不安定。精神疾患。
    ストレスに伴い、自律神経失調症で起こる睡眠不足などで、眼圧が高くなります。
    ・運動不足:血行不良。
    慢性的な血行不良により、眼精疲労などで、眼圧が高くなります。

    ◆禁忌薬

    禁忌薬としてよく聞くのは、抗コリン剤と呼ばれる成分です。この抗コリン剤とは、風邪薬や鼻炎薬などに使用される成分で、眼圧を高める副作用などがあります。

    緑内障患者の中でも特に、狭隅角緑内障や閉塞隅角緑内障と診断された方は、急性緑内障を引き起こす可能性があるので、絶対に使用しないでください。

    ※抗コリン剤を含めた緑内障の禁忌薬は多く存在します。