第39章 近視〔不便ならば眼科医に相談する〕

インデックス 第1節 眼軸の長さで変わる〔網膜に結ぶ像までの距離〕  | 第2節 単純近視と病的近視〔眼軸に変化あり〕  | 第3節 近視の矯正〔メガネやコンタクトレンズ〕  | 第4節 近視の治療〔目薬やメガネや手術〕

◆カメラに例えれば眼の仕組みが分かる

2節図3

カメラでは、被写体の像はレンズを通して、フイルムに到達します。その際にレンズを前後に移動させてピントを合わせたり、また絞りで光の量を加減することにより、被写体の像がフィルムにはっきりと写るように調節します。

◆眼の場合

2節図3

目に入ってきた光は、角膜と水晶体を通り屈折して、網膜に像が写し出されます。目はピン トを合わせるために、毛様体によって水晶体の厚さを調節しています。また、虹彩によって、 光の量も加減します。

◆近視とは

近視は屈折異常の一種で、遠方から目に入ってきた光が、網膜よりも手前で像を結び、物がぼやけて見える状態です。近視は、眼軸長(角膜から網膜までの長さ)が正常よりも長過ぎるか角膜・水晶体の光の屈折力が強過ぎることことにより起こります。

  • 第1節 眼軸の長さで変わる〔網膜に結ぶ像までの距離〕

    ◆正視

    2節図3

    近視の原因は現在のところ良く分かっていませんが、遺伝的な要素と環境が関係すると考えられています。

    ◆眼軸の長さが長過ぎる場合

    眼軸の長さが長過ぎると、遠くを見たときに水晶体を十分薄くしても、網膜上でピントが合いません。網膜の手前でピントが合ってしまいます。このような近祝を軸性近視と呼びます。大部分の近視は軸性近視です。

    2節図3

    ◆角膜・水晶体の屈折力が強過ぎる場合

    角膜・水晶体の屈折力が強過ぎると、遠くを見たときに網膜上でピントが合いません。網膜の手前でピントが合ってしまいます。このような近視を屈折性近視と呼びます。

    ◆近視の原因

    近視の原因は現在のところ良く分かっていませんが、遺伝的な要素と環境が関係すると考えられています。

    ◆成長過程で近視になる子供が多い

    眼軸の長さは成長に伴い伸びていきます。新生児は眼軸の長さが短く、たいてい遠視の状態になっています。しかし、角膜・水晶体の屈折力が強くなっているので、それほど酷くはありません。環境の影響などでバランスが崩れると、近視になると考えられています。

    角膜・水晶体の屈折力は、眼軸の長さが伸びるとともに弱くなり、全体のバランスが調整されるようになります。

  • 第2節 単純近視と病的近視〔眼軸に変化あり〕

    ※遠視とは、網膜の後方でピン卜が合うため、遠くを見るときはもちろん近くを見るときも、調節しないとはっきり見えない目のことです。

    ◆遺伝的な要因

    親が近視の場合、子供が近視になる可能性は比較的に高く、遺伝的な要素が複雑に絡んでいると考えられます。

    ◆環境的な要因

    一般的な近視の場合、環境も影響すると考えられています。勉強、 読書、TV、PCゲームといった近くを見る作業を長く続けていると、目が疲れ、好ましくありません。

    しかし、こういったことが近視の原因になるかどうか、はっき りした証明はありません。

    ◆単純近視と病的近視

    近視は単純近視と病的近視に大きく分けられます。

    ◆単純近視(学校近視)

    遺伝や環境の影響などにより、小学校高学年~中学校くらいで始まる近視を単純近視と言います。病気というよりも身長や体重と同じ個人差です。在学中に発生することが多いので学校近視ともいわれ、大部分の近視は単純近視です。

    ◆病的近視

    2節図3

    ごく一部の近視は、幼児期の段階から始まり進行します。眼軸が異常に長くて近視の度が強いため、眼鏡を掛けてもあまり良く見えるようにはなりません。

    また、眼球がかなり大きくなっているため、網膜が引き伸ばされて非常に薄くなっており、目をちょっと打っただけで、網膜の中心部がひび割れや出血によって萎縮したり、網膜が眼底から剥がれてくる(網膜剥離)などの症状を起こします。

    このような近視は病的近視と呼ばれ、発生する原因がまだ不明で遺伝が関与しているとも言われています。矯正しても、幼児が遠くも近くも見にくくしているようであれば、注意が必要です。


  • 第3節 近視の矯正〔メガネやコンタクトレンズ〕

    ◆近視の矯正

    近視の人の矯正は、メガネやコンタクトレンズで矯正できます。単純近視の場合はメガネを掛ければ正常な視力まで矯正できます。メガネやコンタクトレンズを作る場合には、眼科で目の病気や異常などを検査して、適切なメガネやコンタクトレンズを処方して貰いましょう。

    ◆近視の矯正方法(凹レンズについて)

    2節図3

    近視の矯正には凹レンズを使います。凹レンズは焦点(ピントが合う点)を遠くにする働きがあります。近視の人が適切な度の凹レンズを掛けると、網膜にピントが合って、遠くがよく見えるようになります。

    ◆メガネについて

    近視になったからといって日常常生活に支障を来さなければ、直ぐに眼鏡を掛けなければならないということはありません。黒板の字が見えにくくなる、というような不都合が生じてきたらメガネを掛けてください。

    また、眼鏡を常に掛ける必要はなく、黒板や遠くを見るときなど、必要に応じて掛ければよいのです。眼鏡を掛けたり外したりしても、近視の度が進むようなことはありません。

    ◆コンタク卜レンズについて

    2節図3

    コンタクトレンズは角膜の表面に接触させて用いるレンズで、目立たないことから眼鏡を掛けたくない人に好まれています。左右の視力に差がありすぎて眼鏡が使えない場合でも矯正でき、眼鏡のように曇ったりせず、視野が広くなるという優れた点があります。

    しかし、慣れるまでに時間が掛かる、異物感がある、角膜を傷つける場合がある、といった欠点のため、使用するときは眼科の先生と相談の上で決めましょう。

    また、レンズの取り扱いや管理などが大変なので、小学生の間は眼鏡を掛けることをお勧めします。


  • 第4節 近視の治療〔目薬やメガネや手術〕

    ◆近視の治療

    近視の治療には、点眼薬を用いる方法と手術的方法があります。点眼薬は、近視状態が一時的な場合に用いられることがあります。また、手術的方法の場合はその安全性を十分に見極める必要があります。これらの方法で治療するときは、眼科の先生に納得のゆく説明を受けてからが良いでしょう。

    ◆近視の治療について

    点眼薬を用いる治療法は、近視になりかけの偽近視(仮性近視)の時期に行われることがあります。偽近視は近くを長く見続けた結果、毛様体筋が異常に緊張して水晶体が厚くなり、一時的に近視の状態になっていると考えられるときです。目の調節を休ませる点眼薬を用いる場合もあります。

    手術的方法には、角膜周辺部分を放射状に切開する放射状角膜切開術やエキシマレーザーによる角膜切除術(角膜の中心部分を削る方法)などがあります。

    しかし、強度の近視では効果が弱く、また、安定した視力が得られない場合や後遺症が残る場合もあり、効果と安全性が現在検討されています。治療を受ける場合は、十分な説明を聞いて納得してから受けましょう。

    ◆病的近視の治療について

    病的近視は、現在のところ有効な治療方法がなく、研究が続けられています。網膜剥離や眼底出血などが起こらないように注意し、起きた場合は早急に手術する必要があります。

    ◆目の健康管理

    目は非常に大切です。目を疲れさせないように目の健康に注意しましょう。

    正しい姿勢で勉強や読書をしましょう。背筋をきちんと伸ばし、目と本との距離は30センチくらい離しましょう。勉強や読書を1時間したら、10分間くらい目を休ませましよう。また、本を寝転んで読まないようにしましょう。

    照明は明る過ぎたり、暗過ぎたりすることのないよう注意しましょう。普通、読書や勉強をするには300ルクス必要です。蛍光灯のスタンドでは15~20ワットの明るさに相当します。

    運動や散歩などして、遠くを見る習慣をつけ、目に負担の掛からない生活を送るようにしましょう。栄養のバランスを考えて緑黄色野菜などを十分に採り入れた食生活を送りましょう。

    テレビを見たら、暫く目を休ませましょう。また、PCゲームなどを40分以上続けないようにしましょう。

    ◆まとめ

    大部分の近視は病気ではなく、遠くが見えにくいだけの普通の目です。現代社会では近くを見る作業の方が多いため、近くがよく見える近視の方が有利な場合もあります。日頃から目をいたわる生活を心がけ、見えにくくなってきたら眼科の先生に相談してみましょう。また、度が進まないようでも目を守るために、1年に1回は検眼して貰いましょう。