第18章 パーキンソン病〔50代になったら注意する〕

インデックス 第1節 パーキンソン病の四大症状〔注意して兆候を観察する〕  | 第2節 パーキンソン病の診断〔勘違いしやすい症状〕  | 第3節 パーキンソン病の治療〔薬の治療と手術〕  | 第4節 パーキンソン病治療中の注意〔薬の副作用など〕

パーキンソン病を早期に発見して早期に治療を開始しましょう。身体の動きが悪くなってきた、筋肉がこわばるような感じ、ふるえる、転びやすくなった、等それは、年齢のせいと思っていませんか?それはパーキンソン病の症状の現れかも知れません。その他にも、便秘で困っている、排尿の問題や臭いが感じにくくなった、夜中に大声を出すこと等は、ごく初期に現れる症状でもあります。

パーキンソン病は50代以降に発症することが多く、ゆっくり進行する病気です。よりよい状態を維持していくには早期の的確な診断と早期の治療がポイントとなります。身体の動きが悪くなったのを年齢のせいにして放置せず、ここでパーキンソン病について正しく理解し、気になる症状があったら早めに受診するようにしましょう。

◆どんな病気か?

脳の中でドパミンが不足することで症状がでるパーキンソン病は、脳の中の「ドパミン」と呼ばれる物質が不足し、以下のような特徴的な症状がでてきます。これは、パーキンソン病の四大症状と呼ばれています。

  • 手足が震える
  • 筋肉がこわばる
  • 動きが鈍くなる
  • 身体のバランスがとりにくくなる

◆高齢になるにつれ患者数が増加

パーキンソン病は決して珍しい病気ではなく、日本では約15万人の患者さんがおられます。50代ごろから症状がみられ、年齢とともに患者さんが増加します。有名人では、ボクシングの元世界チャンピオンであるモハメッド・アリさん、ハリウッドスターのマイケル・フォックスさんタレントの永六輔さん、芸術家の岡本太郎さんなどが知られています。40歳未満で発症することもあり「若年性パーキンソン病」と呼ばれます。

◆パーキンソン病に似た症状

パーキンソン病とよく似た症状が現れる場合があります。パーキンソン症状を示すその他の脳の疾患によるものと飲んでいるお薬が影響して症状が現れる場合とがあります。これらは、パーキンソン症候群と呼ばれます。

◆公費負担の対象

パーキンソン病は、厚生労働省が定める「特定疾患治療研究対策事業」の対象疾患で、国や都道府県から医療費の補助を受けることができます。最近ではパーキンソン病の治療は大きく進歩し、長く普通の生活ができる様になっています。補助を受けることで、安心して長期的な治療を受けることができます。

  • 第1節 パーキンソン病の四大症状〔注意して兆候を観察する〕

    ◆パーキンソン病の四大症状

    パーキンソン病で代表的な運動症状は次の四つです。いずれの症状も症状の強さに左右で差があるのが大きな特徴です。

    症状①:手足が震える[振戦]
    2節図3 座って何もしていない時や寝ている時に、手足が小刻みに震えます。動いたり何かしようとするときには、震えが止まることが多いのが特徴です。パーキンソン病の最も代表的な症状です。
    症状②:筋肉がこわばる[筋固縮]
    2節図3 筋肉がこわばり、身体がスムーズに動かなくなります。歯車のように規則的な動きになる場合を歯車現象、こわばりが続く場合を鉛管現象と呼びます。
    症状③:動きが鈍くなる[無動、寡動]
    2節図3 素早い動作ができなくなります。動きが小さくなり、歩いている時にも殆ど手を振らなくなります。一度にいくつもの動作をしようとすると、さらに動きが鈍くなります。
    症状④:身体のバランスがとりにくくなる[姿勢反射障害]
    2節図3 立っているとき、軽く押されるとバランスを崩してしまいます。バランスを崩すと元に戻しづらくなり、転んでしまうことがあります。これは進行すると出てくる症状です。(重症度分類でヤールⅢ度と呼ばれます。この状態になると特定疾患の治療費が補助されます)

    脳は心身の状態をコントロールする総合司令塔です。脳が出す指令は「神経伝達物質」によって次から次へと伝言ゲームの様に伝えられ、運動したり、色々な感覚を感じたりします。パーキンソン病では、神経伝達物質のうち黒質という部位にある「ドパミン」が減少することにより、うまく運動ができなくなります。ゴルフのパットでとんでもない方向へ球をパット…。

    ドパミンの量が減る原因は、まだ十分には解っていません。年齢に伴った脳の何らかの変化や一部は遺伝子に関連した変化が原因として推定されています。パーキンソン病では、不足したドパミンをお薬で補充することにより、症状を軽減することができます。

    ◆原因:ドパミン神経細胞の障害により症状が現れる

    2節図3
    正常な神経細胞の流れ - ドパミンが大量にあり、スムーズに情報が伝わります。
    2節図3
    パーキンソン病の場合 - ドパミンが減少し、情報伝達がうまくいきません。
  • 第2節 パーキンソン病の診断〔勘違いしやすい症状〕

    以下準備中です。今頃くお待ち下さい。

    ◆パーキンソン病の診断

    パーキンソン病の診断は、神経内科での問診から始まります。問診でパーキンソン病が疑われたら、検査で脳や筋肉などの異常を調べます。他の病気ではないことを確認するための画像診断、血液検査、尿検査も行います。これらの結果を厚生労働省が作成した診断基準と照らし合わせ、基準を満たしていれば、パーキンソン病と診断されます。

    2節図3
    パーキンソン病の診断の流れ
  • 第3節 パーキンソン病の治療〔薬の治療と手術〕

    ◆治療

    <治療の概要>

    パーキンソン病の診断がついた時から、多くの場合はお薬による治療が開始されます。治療薬は病状に合わせて変更します。薬の量や種類が増えたからと言って心配する必要はありません。薬の量や種類は病状に合わせて担当医が診察をしたり、患者さんに様子を伺って決まります。治療がうまくいく様に、主治医に困っていることをお話しして下さい。

    <薬による治療>:パーキンソン病で使われる主な薬剤一覧と注意すべき症状

    ・ウェアリング・オフ現象
    パーキンソン病治療の柱となるお薬であるL-ドパが効いている時間が短くなる現象で、1日の中で症状が良くなる時間帯や悪くなる時間帯が出てきます。L-ドパの量や飲む回数を調整する、または他の薬を追加するとウェアリング・オフ現象が改善することがあり   ます。
    ・オン・オフ現象
    薬の効果が突然なくなり、動けなくなってしまったり、効果が突然現れて、急に動けるようになる現象です。薬の追加や変更などによりオン・オフ現象が改善することがあります。
    ・ジスキネジア
    薬が効き過ぎて手足が勝手に動いてしまう現象です。薬の量や種類を調整することで、ジスキネジアが軽減することがあります。

    <手術による治療>

    パーキンソン病では薬による治療が中心となりますが、薬で症状のコントロールが困難な場合や、副作用のため必要な量を飲むことができない場合には、手術を行うことがあります。場合によっては早期に手術が必要な患者さんもいます。

    手術で完全にパーキンソン病が治ってしまうわけではなく、薬による治療を補助する役割と考えてください。手術を受けるためには、いくつかの条件がありますので、主治医の先生と良く話合って手術をお願いするかどうかを決めましょう。

    マスコミで報道されたからといって、あなたに手術が向くかどうか,また必要かどうかは解りません。自分で判断せずに主治医と相談の上で、主治医の紹介状をもって脳外科を受診する様にしましょう。

    ◆パーキンソン病との上手な付き合い方

    パーキンソン病は、長い期間で進行していく病気です。患者さんごとに組み合わさってみられる症状の種類や重症度も異なりますし、状況によっても治療方法は異なります。パーキンソン病の経過も患者さんによって異なります。更に、病状の経過に従ってみられる症状もそれぞれの患者さんで異なります。

    これらの症状はお薬の量や種類を変更したりすることで対処ができます。気になることがあれば主治医とよく相談して、不便を感じない日常生活を長く続けられるよう、パーキンソン病と上手に付き合っていきましょう。パーキンソン病薬でよくみられる副作用を次に示します。気になることや耐えられないことがありましたら、我慢をしないで主治医とご相談下さい。よく動いて、頭を使って、元気に毎日を過ごしましょう。

  • 第4節 パーキンソン病治療中の注意〔薬の副作用など〕

    ◆パーキンソン病治療中の注意事項

    <薬を飲み始めた時にみられる副作用>

    パーキンソン病の薬を飲み始めた時に起こり易い副作用です。このような症状が現れた場合には、主治医へ連絡してください。

    ・胃腸の症状
    吐き気や食欲不振、便秘などの症状が現れることがあります。症状によって、吐き気止めや便秘薬での対処が可能です。
    ・眠気
    薬によって眠気が出たり、突然寝てしまう副作用があります。
    ・立ちくらみ
    立ちくらみが副作用として現れることがあります。立ち上がるときには、ゆっくり立ち上がることを心掛けましょう。症状が強い場合には、立ちくらみを防ぐ薬での対処が可能です。

    <長期間に薬を飲み続けた時にみられやすい副作用>

    パーキンソン病の薬を長期間継続していると、特有の副作用がでることがあります。このような症状があらわれた場合には、主治医へ連絡してください。

    ・幻覚
    パーキンソン病では病気や薬によって幻覚を見ることがあります。お薬の種類を変更したり量を減らしたりすることで治まります。
    ・むくみ
    足にむくみが出ることがあります。薬の種類を変更するなどの対処をします。
    ・ドパミン調節異常症候群
    薬の副作用で、衝動的な買い物をしたり、ギャンブルに依存したり、性行動が抑えられなくなるなどの症状がでてくることがあります。薬の量や種類を変更することで症状を抑えられる場合もあります。

    このような様子があらわれた時には、恥ずかしがらずに主治医に相談しましょう。

    ◆その他の注意事項

    パーキンソン病の薬の中には、自動車の運転をしないよう決められているものがあります。また、心臓病の定期検査を受けなければいけないものもあります。医師や薬剤師から説明がありますので、必ず従ってください。