第10章 動脈硬化症〔生命に関わる病気へ〕

インデックス 第1節 動脈硬化症の検査〔転ばぬ先の杖〕  | 第2節 もし動脈硬化と診断されたら〔先ずは生活習慣を改善〕  | 第3節 動脈硬化の原因〔生活の態度と習慣〕  | 第4節 動脈硬化の予防と改善〔動脈硬化を予防する食事〕  | 第5節 動脈硬化の新しい指標〔コレステロール比率〕

日本の三大死因は、癌・脳血管疾患・心疾患です。なかでも脳血管疾患と心疾患はいずれも血管の壁が厚くなり弾力性が失われ、血管自身が劣化したり狭くなってしまう『動脈硬化』が原因です。

  • 血がネバネバしてきて、血や脂の塊(粥状腫瘍)が出来易くなる。
  • 血や脂の塊が血管の内壁に付いて狭くなり、血の流れが悪くなる。
  • 血や脂の塊が血管を狭くし、血管を塞ぎ、血が流れなくなる。

※人は動脈とともに老いる A man is as old as his arteries.

動脈硬化は加齢によって誰にでも起こりますが、個人差が大きく、その進展には食生活や運動不足などの生活習慣が大きく関連しています。大変な病気に罹らないためには、これも早期発見が最大の秘訣です。

<動脈硬化を放っておくと> 動脈硬化によって下記の障害が予測されます。

①脳出血(脳内出血、くも膜下出血)
脳内の血管が破れてしまう病気。
②脳梗塞:危険
脳内の血管が詰まってしまう病気。
③狭心症
心臓を取り巻く冠状動脈が狭くなっておきる病気。
④心筋梗塞:危険
心臓を取り巻く冠状動脈の血流が止まる病気。(狭心症からくる)
⑤全身障害(閉塞性動脈硬化症)
脚の筋肉への血流が減り歩くと足が痛い症状の病気、酷くなると足先が腐ってしまう。

<こんな人は受診しましょう>

誰でも加齢とともに血管は硬化してゆきます。血管壁への悪玉コレステロール(粥状の腫瘍)の油脂の付着です。特に、40歳以上で下記に思い当たる方は受診すべきでしょう。

  • 喫煙習慣がある(1日本数*年数>600なら無条件)
  • 高脂血症(コレステロール値)と言われた
  • 高血圧と言われた
  • 肥満だと思う(体重kg÷身長m÷身長mが23以上)
  • 冷える感じやしびれ感がある
  • ふくらはぎが攣ることがある

<測定検査の方法>

検査はとても簡単です。僅かな時間で済みますし、血圧測定に似てます。実際の測定時間は僅か5分程です。検査は両手両足首の4箇所の血圧を同時に測定します。ほとんど痛みはありません。薄手の衣服ならばそのまま測定できます。脚はふくらはぎから足首を巻きますが、少し強めに圧迫されます。全部で2回ばかり測定いたします。

  • 第1節 動脈硬化症の検査〔転ばぬ先の杖〕

    <何が分かるのか?>

    ・PWV(pulse wave velocity)脈波伝播速度<硬化の度合い>
    心臓から押し出された血液により生じた拍動が、血管を通じて手や足に届くまでの速度のことで脈波伝播速度と呼ばれます。血管が硬くなってしまうと、その速度は早くなります。逆に血管が柔らかく柔軟性があれば調整されて速度は遅くなります。加齢や生活の乱れで、血管が硬くなってしまっていませんか?正常値は0.9~1.3です。
    ・ABI(ankle branchial index)上腕と足首の血圧比<狭窄の度合い>
    足首と上腕の血圧の比を測定することで、血管の狭窄の程度が判ります。健康な人の場合には、足首血圧は上腕血圧よりも高いのが普通です。逆に、脚の動脈が脂質などで詰まって狭窄していれば、血流が悪くなり上腕の血圧よりも低くなります。正常値は秒速~1400cmです。

    <検査の手順について>

    先ず、ベッドに横になって血圧計(両手上腕2カ所、ふくらはぎ2カ所)と血圧脈拍計(手首2ケ所、首1ケ所)を装着します。次に、締付けと緩めの測定が2回実施されます。この間は安静にしてリラックスしましょう。検査結果はコンピュータ処理でプリントされます。最後に、プリント結果に基づき、医師から今後の生活や病気に関するアドバイスを受けます。

    <費用について>

    被保険者として2千円以下の検査ですから、人間ドックの時期に年1回の受診をお薦めします。心臓カテーテル検査みたいに8万円も掛りません。

    <動脈硬化の原因(生活習慣病)>

    誰でも加齢と共に老化し動脈硬化も進みます。思い当たること(目安値)は改善しましょう。

    ①高血圧症正常血圧幅:
    85~130mmHg
    ②糖尿病空腹時血糖値:
    ~110mg/dl また HdA1c~5.8%
    ③高脂血症総コレステロール:
    ~220mg/dl
    中性脂肪値:~150mg/dl
    HDL善玉コレステロール:40mg/dl~
    LDL悪玉コレステロール:~140mg/dl
    ④高尿酸血症・通風
    血中尿酸値(男)~7mg/dl (女)~6mg/dl
    ⑤喫煙習慣
    1日本数*年数>600なら危険な兆候(現在よりも半減か禁煙)
    血圧向上、血管絞る、悪玉コレステロール強化し善玉を減少
    ⑥アルコール過剰摂取
    休肝臓日を作る。酒1合、ビール1本までが適量
    ⑦肥満
    摂取エネルギー量の過剰を節制する。
    (男)~1600kcal (女)~1400kcal 
    ⑧運動不足
    平均歩数1日分(男)9200歩 (女)8300歩
    ⑨ストレス・悩み
    適度な運動や趣味での気分転換
  • 第2節 もし動脈硬化と診断されたら〔先ずは生活習慣を改善〕

    <動脈硬化と判明したら>

    誰でも加齢と共に進みますが、年齢相応や老化度合いが進んでいたら以下の厚生労働省の7つの健康習慣チェックが役立つでしょうね。

    • 適正な睡眠時間
    • 喫煙をしない
    • 適正体重を維持する
    • 過度の飲酒をしない
    • 定期的に運動をする
    • 朝食を抜かない
    • 間食をしない

    医師と十分に相談して、生活習慣の改善、運動療法、食事療法、内服薬療法によって改善されますので頑張って下さい。但し、放っておくと外科的治療が必要となってしまいます。先ずは、日常の生活習慣の改善からはじめましょう。動脈硬化が進行していない人も、安心しないで現状維持に努めて下さい。

    <血液サラサラにして血粥塊から逃げる>

    食事療法ではニンニク、玉ネギ、ブロッコリ、納豆、トマトなどがあります。但し、ワーファリン剤服用中の人はホウレン草や納豆やグレープフルーツなどの食べ合せの注意事項を十分に守って下さい。生命に関わる禁忌食事になります。薬事療法ではアスピリン剤やバッファリン剤がありますが、医師と相談の上で処方して貰って下さい。

    これらは、あくまでも血液をサラサラにさせているだけです。既に、動脈が硬化してしまったコレステロールの血管壁の粥腫を溶かすものでは有りません。粥腫は何十年も掛けて出来た老廃物です。時として石灰化する怖さもあります。これも食生活改善や生活習慣改善などで少しずつ改善されます。老化進行速度よりも現状維持と改善の速度を上げて動脈硬化を予防改善して下さい。

    動脈が肥厚し硬化した状態を動脈硬化といい、これで引き起こされる様々な病態を動脈硬化症と言います。動脈硬化の種類にはアテローム性粥状動脈硬化、細動脈硬化、中膜硬化などのタイプがあります。注記のない場合はアテローム性動脈硬化を指すことが多い。アテローム動脈硬化症は、脂質異常症(従来の高脂血症)や糖尿病、高血圧、喫煙などの危険因子により生じると考えられ、最終的には動脈の血流が遮断されて、酸素や栄養が重要組織に到達できなくなる結果、脳梗塞や心筋梗塞などの原因となります。

    最近では、動脈硬化症の原因と考えられている脂質異常症や、危険因子がなんらかの基盤で集積した状態であるメタボリックシンドロームについての研究が盛んです。動脈硬化とは、動脈にコレステロールや中性脂肪などが溜まって、詰まったり、硬くなったりして弾力性や柔軟性を失った状態をいい、動脈硬化になるとスムーズに血液が流れなくなります。

    動脈が弾力性や柔軟性に富んでいれば、心臓や脳などの臓器や筋肉などの組織に必要な酸素や栄養の供給は行なわれます。しかし、コレステロールなど血液の脂質が動脈に溜まったり、酸素や栄養が不足したり、高血圧により常に血管に負担が掛ったりしていると、動脈は弾力性を失い硬く、もろくなってしまいます。このような状態を動脈硬化というのです。

    動脈硬化が進行すると、日本人の死因の主な原因である心疾患(狭心症、心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)を引き起こす恐れがあります。

  • 第3節 動脈硬化の原因〔生活の態度と習慣〕

    <動脈硬化の症状>

    動脈硬化は動脈硬化だとはっきりわかる自覚症状がないため、症状だけで動脈硬化を早期発見することは難しいのです。しかし、動脈硬化を放っておくと心臓病や脳血管障害、閉塞性動脈硬化症など重大な病気を引き起こす恐れがあるため、定期的に病院での検査(健康診断)を行なうことや自宅など定期的に体重を測り、血圧を測って、動脈硬化を早期発見しましょう。

    病院では首の頚動脈部の超音波検診、中心血圧測定、四肢圧迫動脈硬化測定などがあり、眼科でも眼球麻酔(瞳孔拡大麻酔の点眼液)で眼底観察でも脳内出血や網膜剥離に加えて動脈硬化も検査できます。自覚症状がないので早期に専門医で検査するしかないのです。

    <動脈硬化の原因>

    動脈硬化は、食事、運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣の違いによって大きく影響されることがわかっています。たとえば、動物性脂肪の多い高カロリー食は、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を増やし、過酸化脂質を増加させます。それらが血管壁に付着して血管を詰まらせたり、血管が破れたりする原因になります。

    また、動脈硬化は、動脈硬化の危険因子である高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙、運動不足、偏った栄養バランスの食事、アルコール、加齢、ストレスの有無などについて確認し生活習慣を見直して予防することが大切です。

    動脈硬化は加齢とともに進行するため、一種の老化現象ともいえます。しかし、動脈硬化は急に現れるわけではなく、若いころから始まり、40歳を過ぎる頃に症状があらわれてくることが多いのです。つまり、動脈硬化の予防は若いうちから行う必要があります。少しずつ動脈硬化の原因となる生活習慣を改善していきましょう。

    • 生活態度の見直し喫煙、飲酒、運動不足
    • 生活習慣の見直しストレス、不規則、睡眠不足
    • 食生活の見直し肉食、揚げ物、塩分、スナック食品、加工食品、ジュース
    • 食材類の見直し葉酸、オメガ3油、野菜

    <動脈硬化リスク度チェック>

    □加齢男性:
    45歳以上、女性:55歳以上
    □喫煙
    喫煙習慣が有る
    □血糖値
    血糖値が100以上
    □血中脂質
    • 中性脂肪150mg/dl以上、
    • LDLコレステロール140mg/dl以上
    • HDLコレステロール40mg/dl以下
    □血圧
    • 最高血圧140以上
    • 最低血圧90以上

    以上のリスク項目に多く該当する方は動脈硬化になる可能性が高いようです。

  • 第4節 動脈硬化の予防と改善〔動脈硬化を予防する食事〕

    ●食事・食生活の改善・バランスのとれた食事に
    動脈硬化の予防には食事・食生活の改善は欠かせません。バランスのとれた食事でミネラルやビタミンを補給しましょう。また、食事の量も気をつけましょう。
    ●ダイエットをして、肥満を解消する
    肥満は動脈硬化の原因の一つだと考えられている。
    ●オメガ3の多い食事を心がける
    オメガ3脂肪酸の多い食事(青魚、えごま油、シソ油、亜麻仁油、くるみ、緑黄色野菜、豆類などの食品)を積極的に摂りましょう。
    ●脂身の多い肉など動物性脂肪の食べ過ぎに注意する。
    青魚に含まれるDHAドコサヘキサエン酸やEPAエイコサペンタエン酸を摂りましょう。
    ●葉酸の多い食品を摂取する。
    最近の研究によれば、葉酸が不足するとホモシステインという物質が増加する事が分かっています。ホモシステインが増加すると、血管壁に衝突して傷つけてしまい、動脈硬化を誘発してしまう恐れがあるそうです。葉酸を摂取することによって、ホモシステインを減らすことが動脈硬化を予防し、血管年齢を若くすることにつながります。

    【動脈硬化を予防する生活習慣】

    ●ストレスを解消し、規則正しい睡眠で休息をとる。
    ストレスは血圧にも影響を与えます。自分にあったストレスを解消する方法を見つけましょう。ストレス解消には睡眠が大事です。睡眠不足も問題ですが、規則正しい就寝起床を心掛けましょう。
    ●塩分の取り過ぎに気をつける。
    塩分の摂り過ぎは、直ぐに血圧を上昇させます。
    ●運動
    動脈硬化予防に良い方法とは、有酸素運動です。有酸素運動をすると、血流が良くなり、血管が広がり易くなるそうです。血管が広がり易くなり、血流が良くなることで、血管を傷つけにくくなり、動脈硬化を予防できるそうです。
    ●お酒(アルコール)の飲み過ぎに気をつける。
    アルコールで酔うのも程度問題です、自分に合ったほろ酔い加減の量を制限しましょう。
    ●タバコを控える。
    喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を促進させるので禁煙をしましょう。1本で1日の寿命!
    ●体重・血圧を測り、自己管理に心がける。
    肥満や血圧が高めな人は、体重計と血圧計を用意して、体重と血圧の自己管理を心掛けましょう。ちょっとした食事などの生活習慣の改善が動脈硬化の予防に役立ちます。
    ●定期的な検査
    健診では、血圧、総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロールの値などを検査し、動脈硬化の進行度を診断します。定期的な検査の中で、かかりつけの医師と良い関係を築き、生活・食事指導を受けましょう。
  • 第5節 動脈硬化の新しい指標〔コレステロール比率〕

    動脈硬化の新しい指標:「LH比」

    動脈硬化が進んでいるかどうかの目安として、悪玉コレステロールと善玉コレステロールの比率「LH比」と呼ばれる新しい指標が注目されてます。なぜLH比が注目を集めたのでしょうか。それは、最近の研究で、LDLが 140未満の人でも心筋梗塞になるケースがあり、またHDLが高い人でもまれに動脈硬化を起こすことも分かってきました。つまり、これまで推奨されてきた基準値内でも動脈硬化になる可能性があり、新たな診断基準が必要になってきたと いうことです。そこで注目されてきたのが「LH比」というわけです。

    LH比が高い人ほど動脈硬化がリスクが高く、LH比が 1.5以上になると動脈硬化の可能性が高くなってくるそうです。

    LH比=LDL(悪玉コレステロール)÷HDL(善玉コレステロール)

    ⇒LH比1.5以下を目標に、食生活や運動、禁煙など生活習慣を改善しましょう。