第2章 ビタミン13種類 

インデックス 第1節 ビタミン不足とビタミンの発見  | 第2節 ビタミンの働きと多く含む食材  | 第3節 ビタミン全種類の基礎知識  | 第4節 ビタミンの欠乏症と過剰症
  • 第1節 ビタミン不足とビタミンの発見

    ビタミン欠乏症とは、ビタミンの不足によって起こる症状の総称です。発展途上国では問題となっていますが、日本ではあまり問題とはなっていません。それでも、潜在性ビタミン欠乏症というビタミン欠乏症に近い症状も先進国の間では出始めています。野菜摂取の不足から、 最近の若い人に見受けられる脚気などは、ビタミン不足なのです。

    • 5大ビタミン欠乏症

      この用語が良く言われます。脚気、ペラグラ、壊血病、くる病、悪性貧血のことです。いずれもビタミンが欠乏することで起こる疾患なのです。食生活が豊かになった現在では、さほど心配する必要はありませんが、過去には多くの人々を悩ませ、これらの研究をする過程でビタミンが発見され、注目されてきたのです。その歴史を紐解いてみましょう。
    • 兵士たちの病気から発見されたビタミン

      ビタミンが発見されるまで、不可解な症状に悩まされる人は後を絶たなかったそうです。特に、15世紀中ごろから17世紀中ごろまで続いた大航海時代には、多くの船乗りたちが壊血病で死んしまいました。インド航路を発見したあのヴァスコ・ダ・ガマも、半分以上の船員を壊血病で失い、命からがらポルトガルに帰還したと言われています。
    • ビタミンの名前の由来

      ポーランドの化学者、カジミール・フンクが抽出した成分にはアミンが含まれていたためフンクはこれを「生命のアミン」すなわち「ビタミン」と名づけたそうです。

    ◆ビタミンの種類

    • 水溶性…ビタミンCと8種のビタミンB群===>毎日きちんと摂取する。
    • 脂溶性…4種のビタミンのA、D、E、K===>吐き気など過剰症もある。

    ビタミンが足りないと、体が疲れやすく体調不良を招きます。最近では不足分をサプリメントで補う人も少なくないでしょう。しかし、種類によっては過剰摂取で体に悪影響を及ぼす可能性があることがわかってきました。健康維持のためにもビタミンを正しく理解しましょう。

    ビタミンは体の中だけで必要量を作り出すことができず、食品から摂らなければなりません。世界で最初に発見されたのが玄米などに含まれるビタミンB1です。明治時代に国民病として恐れられた脚気(かっけ)は、B1不足が原因でした。

    ビタミンは現在、全部で13種類あり、水に溶けやすい「水溶性」と脂に溶けやすい「脂溶性」に分類できます。殆どのビタミン発見者がノーベル賞を受賞しています。ビタミンCなどの水溶性は煮物だと煮汁も飲み干さないと体内に十分取り込まれないそうです。

    女子栄養大学・栄養クリニックの蒲池桂子准教授は「水溶性は必要量以外は尿で排出されるので、毎日摂取するようにして欲しい」と説明しています。脂溶性は、油で炒めるなど脂分と一緒に調理すれば吸収されやすいビタミン類です。

    食生活が偏ったり、高齢で食が細くなったりすると、ビタミン不足に陥って、様々な欠乏症を引き起こします。例えば、ビタミンAだと夜盲症になり、癌や老化の原因とされる「活性酸素」への抗酸化作用で知られるのがビタミンCです。

    ビタミンは別名が付けられて呼ばれるものが多いので、ビタミンの一覧を挙げます。

    水溶性ビタミン(ビタミンB群)
    ビタミンB1チアミン
    ビタミンB2リボフラビン。ビタミンGともいう。
    ビタミンB3ナイアシン。ビタミンPPともいう。
    ビタミンB5パントテン酸
    ビタミンB6ピリドキサール、ピリドキサミン、ピリドキシン
    ビタミンB7ビオチン。ビタミンBw、ビタミンHともいう。
    ビタミンB9葉酸。ビタミンBc、ビタミンMともいう。
    ビタミンB12シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン
    ビタミンCアスコルビン酸
    脂溶性ビタミン
    ビタミンAレチノールなど
    ビタミンDエルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール
    ビタミンEトコフェロール、トコトリエノール
    ビタミンKフィロキノン、メナキノンの2つのナフトキノン誘導体

    厚生労働省の研究班は、男女約3万5千人を対象にした疫学調査を公表しました。普段の食事から日本人の平均摂取量(1日約110ミリグラム)の約2倍摂っている人は、約半分しか摂っていない人よりも、白内障の発症率が約4割も低かった。ビタミンEに大腸などの癌を抑,, 制する効果があることを示唆する報告もあります。

    ただ、サプリメントなどで大量摂取を続けるのは考え物です。国立がんセンター研究所の発表では「生活習慣病リスクを下げるという信頼性の高い研究は見当たらない」と警告します。種類によって過剰症を招くこともあるのです。

    脂溶性は体に溜まり易いので、特に注意が必要です。ビタミンAは皮膚や目の健康、免疫力を保ちます。しかし、摂り過ぎで頭痛や吐き気、胎児異常などを引き起こすことがあります。成人の摂取量の上限は1日3ミリグラムです。

    ビタミンEや植物性のビタミンAであるベータカロテンにも抗酸化作用があります。しかしサプリメントで摂り過ぎると死亡率が高くなることが国内外の疫学調査で判っています。またビタミンCは水溶性で過剰症などの報告はありませんが「過剰摂取で活性酸素を生み出す可能,, 性がある」との意見もあります。

    ※サプリメントはあくまで食事の補助。普段の食事から幅広くビタミンを取ることを心掛け唯一例外とされるのが葉酸です。胎児の発育に必要な役割を担い、若い女性に不足すると妊娠したときに胎児の先天異常が起こりやすくなるため、サプリメントで必要量を補うのが良いと推奨されています。

    ビタミン不足にならないよう、偏った食事をなくしバランスの良い食事に心掛けて太陽の光も浴びましょう!

  • 第2節 ビタミンの働きと多く含む食材

    ◆脂溶性 ①ビタミンA 鶏レバー、豚レバー、焼き海苔、ウナギの蒲焼き 皮膚や目を健康に保ち、免疫力を守る。動物性食品に多いレチノールのほか、緑黄色野菜などに多く含まれる植物性のカロテン類(ベータカロテンなど)があり、カロテン類には抗酸化作用もあります。
    ②ビタミンD 乾燥木耳、干し椎茸、アンコウの肝、シラス干し、イクラ、クロカジキ カルシウムの吸収を手助けし、骨や歯の形成を支えます。子供で不足するとくる病、女性や高齢者で不足すると骨粗しょう症 の原因に。魚介類やキノコ類に多く含まれます。日光浴で肌を焼けば体内でも生成されます。
    ③ビタミンE アモンド、綿実油、サフラワー油、アンコウの肝、ピーナツ 有害な活性酸素を取り除く抗酸化作用の働きが強いビタミンです。
    ④ビタミンK わかめ、モロヘイヤ、納豆、明日葉、バジル、焼き海苔 血液を凝固させて出欠を止める止血作用があり、緑黄色野菜や納豆などの発酵食品に多く含まれています。
    ◆水溶性 ⑤ビタミンC 赤ピーマン、芽キャベツ、黄ピーマン、菜の花、レモン、カリフラワー 血管や皮膚を守るほか、活性酸素を取り除く抗酸化作用もあります。喫煙やストレスで失われやすいのです。野菜や果物に多く含まれます。特に、柑橘類にや苺に多いのは有名です。
    ◇ビタミンB群 ⑥ビタミンB1 豚ヒレ肉、煎り胡麻、ボンレスハム、ウナギの蒲焼き、鱈子 糖分をエネルギーへと変換するのに必要です。不足すると疲れやすくなったり、イライラしたりします。玄米などに多いことで知られます。
    ⑦ビタミンB2 豚レバー、牛レバー、鶏レバー、干し椎茸、干しひじき 様々な栄養素がエネルギーに変わるのを助けます。乳製品や肉類などのほか、納豆や野菜にも幅広く含まれます。
    ⑧ビタミンB6 大蒜、ピスタチオ、ミナミマグロ赤身、牛レバー、カツオ 食事から体に必要な蛋白質を再合成して成長を促進します。
    ⑨ビタミンB12 蜆、赤貝、焼き海苔、牛レバー、浅蜊 赤血球を作るのを手助けして貧血を予防します。動物性食品に多く含まれます。痛み止め効果もあります。
    ⑩パンテトン酸 鶏レバー、豚レバー、牛レバー、鱈子、納豆 脂質や糖質、蛋白質の代謝にかかわる作用を持ちます。
    ⑪ナイアシン 鰹削り節、辛子明太子、キハダマグロ、ピーナツ、干し椎茸 エネルギー代謝やアルコール分解など。不足すると食欲減退などになります。
    ⑫葉酸 焼き海苔、鶏レバー、牛レバー、雲丹、菜の花 赤血球の生産にかかわり、胎児や乳幼児の発育にも重要です。緑黄色野菜に多く含まれます。
    ⑬ビオチン 卵、レバー、鰯、ナッツ類、カリフラワー 皮膚や毛髪を健康に保つ作用です。
  • 第3節 ビタミン全種類の基礎知識

    <脂溶性ビタミン(4種類)>

    ●ビタミンA

    単位はレチノール当量(mgRE/日)換算ビタミンAは類似効果・類似構造を持つ栄養素の総称で、レチノールや色素として有名なカロテノイドもビタミンAの一種です。βカロテンやクリプトキサンチンはサプリメント等で聞いたことあると思います。

    加熱調理により減少しますが、表内の人参や法蓮草の含有量を見てわかるように、加熱済みの緑黄色野菜でも十分摂取できます。主な効果は、目の機能と免疫力の維持です。過剰摂取により頭痛や吐き気を催しますが、これはビタミンAのうち動物質に多いレチノール特有の症状で、緑黄色野菜に多いβカロテンでは過剰症はありません。心配な方は野菜中心にビタミンAを摂取すると良いでしょう。

    ●ビタミンD

    ビタミンDは日光(紫外線)に当たることで人体内でも合成可能です。食品では魚類や茸、特に木耳に多く含まれます。通常の食事では過剰症の心配はほとんどありませんが、サプリメント等で摂り過ぎると吐き気や腎機能に悪影響を与える可能性があります。

    ビタミンDは血中や組織内のカルシウム濃度の調整を担っており、特に子供では骨の成長、成人では骨粗鬆症の防止に重要です。太陽の光の下で思いっきり生活しましょう。

    ●ビタミンE

    ビタミンEはいわゆる『抗酸化物質』です。耐容上限がありますが、桁が2つ違うので過剰摂取は無視できます。細胞の老化防止に役立つため積極的に摂取していきたいビタミンです。

    表には無いですが、植物油にも多く含まれており、油とともに摂取することで特に吸収率が高まるビタミンです。熱に強いですが、大気中で酸化し劣化するので、新鮮な食物から摂取していきましょう。

    ●ビタミンK

    ビタミンKも骨の成長に関わっており、骨粗しょう症の治療薬にも使われる栄養素です。こちらも過剰症の報告は少ないため、上限は設けられていません。ただ、栄養学の専門書を見ると、過剰摂取により血液凝固剤の効果を低減する可能性があると言及されていますので、服用者は医師に相談すると良いでしょう。

    腸内細菌でも少量合成できるものの、それだけでは不十分なので、普段の食事でしっかり摂取していきましょう。

    <水溶性ビタミン(9種類)>

    ●ビタミンB1

    ビタミンB1の正式名称はチアミンといいます。熱に弱く、生鮮食材の栄養成分を参考にしたとしても、加熱により半分以上は失われるつもりで計算しましょう。水溶性ビタミンは水分に溶け出すため、煮物など汁ごと摂取できる調理形態が望ましいです。ビタミンB1に限った 話では無いですね。

    水溶性ビタミンは全体的に細胞内の様々な酵素を補助する働きをしています。特に、このビタミンB1は糖分の代謝に不可欠で、ビタミンB1が不足すると糖のエネルギー変換が不十分となります。逆に糖質の過剰摂取はビタミンB1を消耗し、欠乏症を引き起こします。また、血中濃度が一定以下になると脚気を引き起こす可能性があります。

    ●ビタミンB2

    ビタミンB2もB1と同様、代謝に不可欠な物質で、正式名称はリボフラビンです。脂質、糖質、たんぱく質の分解酵素の作用を助けるとともに、 身体の発育を促すので、特に子供には重点的に(適正量を)摂取させたいビタミンです。

    動物性食品に多く、レバーの含有量が目立ちます。ビタミンAなど、レバーはかなり栄養リッチなのです。光に弱いので、該当食品は冷暗所で保管しましょう。

    ●ナイアシン(表中の許容上限はニコチン酸アミドの量)

    ナイアシンに特徴的な作用として、アセトアルデヒド分解酵素の補助、すなわちアルコールの分解を助け、二日酔いを防止する作用があります。体内でもトリプトファンというアミノ酸から合成できるので、欠乏症になることはほとんどありません。

    しかし、習慣的にアルコールを過剰摂取しているとナイアシンが消費され欠乏症に陥る可能性があります。

    ●ビタミンB6(表中の許容上限はピリドキシンとしての量)

    ビタミンB6は脂質の蓄積防止に関与する他に、神経伝達物質(セロトニンやドーパミンなど)の合成に不可欠な栄養素です。そのためホルモンバランスの安定など、精神衛生面でも重要な働きをします。

    動物性食品、特に魚類には豊富に含まれています。ビタミンB6も腸内細菌が合成でき、欠乏症の心配はほとんどありません。ただ、抗生物質の使用などで腸内細菌の活性が低下するとまれに欠乏症を引き起こすので、食事からもしっかり摂取しましょう。

    ●ビタミンB12

    ビタミンB12は動物性食品に多く、野菜にはほとんど含まれていないビタミンなので、野菜のみの食事など、過度なダイエットをしている方では欠乏症に陥る可能性があります。特に、血液を作る上で重要な働きをしており、葉酸とともにヘモグロビンの合成に不可欠なビタミンです。そのため、貧血の治療薬にも用いられます。

    ●葉酸

    葉酸の重要な働きも造血作用で、ビタミンB12とともに摂取すると有効です。なお、妊娠時の推奨量は 480μg(+240)となります。造血作用だけではなく、アミノ酸や核酸(DNA)といった、細胞で最も重要な成分の合成に必要不可欠なので、細胞分裂が盛んな箇所、盛んな時期に欠乏症になることがあります。(胎児を持つ母親など)

    サプリメント等で急激に過剰摂取した場合は胃腸炎等の過剰症が確認されています。推奨量と上限量の差も大きくないため、適正量を心がけましょう。

    ●パントテン酸

    パントテン酸もホルモンバランスの調整に役立ちますが、動物性、植物性多くの食品に含まれているため、絶食しない限り欠乏症に陥ることはまずありえません。免疫力の強化のためには、他のビタミン、特にビタミンB6や葉酸とともに摂取すると効果的です。

    ●ビオチン

    ビオチンは腸内細菌により合成され、抗生物質等の作用で腸内細菌の活性が低下しない限り欠乏症に陥ることは少ないです。全身の代謝に関わり、筋肉痛の緩和(乳酸除去の促進)にも効果的です。

    特徴的な現象として、生卵白に含まれるアビジンというタンパク質と結合し、吸収が阻害されるため、生卵白の大量摂取によりビオチン欠乏症(卵白障害)に陥ることがあります。そういうシチュエーションはまず無いと思いますが。バイオ系の実験では、この作用を利用して、蛋白質の精製に用いることもあります。

    ●ビタミンC

    ビタミンCの正式名称はLアスコルビン酸です。コラーゲンの合成に必須で、肌質の維持に作用します。少なくとも、消化器官で分解されるコラーゲンを直接食べて美肌効果を狙うよりは、ビタミンCを適正量摂取した方が効果的です。

    抗酸化物質でもあるため、細胞の老化防止など、身体の調子を整えるために重要なビタミンです。過剰症の項目ですが、ヤバいサプリ等によってグラム単位で毎日摂取した場合であり、日常生活では心配ありません。

    なお、ストレスと喫煙によって大量に消費されるので、その場合はより多く摂取する必要があります。

    ●サプリメントからのビタミン摂取

    ビタミンをサプリメントで補給している人も多いですが、ここで一度摂取量と主要食品の含有量を比較して欲しいのです。ビタミンAであればレバーや緑黄色野菜、ビタミンKであれば納豆など、ビタミンは、一般的な食品を適量摂取するだけで1日の摂取量を満たしてしまう場合が多いのです。

    すなわち、栄養を考えて多品目の野菜・海産物を毎日食べられていれば、ビタミンが欠乏することはありえないのです。しかし、食生活が外食などでどうしても偏ってしまう事情があるかもしれません。その場合は、不足しているビタミンのみ必要分だけサプリで補給すれば良いと言えるでしょう。

    記述の通り、ビタミンB1は糖分の過剰摂取、ナイアシンはアルコール、ビタミンCはストレスと喫煙により、不足しやすいビタミンです。(過剰摂取しない前提で)無難にマルチビタミンで良いと思います。(アメリカ製だとたまに異常な量が入っていることがあるので注意)

  • 第4節 ビタミンの欠乏症と過剰症

    ビタミンAの摂取量

    ビタミンは殆どの場合、生体内で合成することができないので、主に食料から摂取される。ビタミンが不足すると、疾病が起こったり成長に障害が出たりします。(ビタミン欠乏症)日本では厚生労働省が日本人の食事摂取基準によってビタミンの所要量を定めており、欠乏症を,, おこさない必要量と、尿中排泄量の飽和値によって所用量を見積っています。成人の場合、1日当たりの必要摂取量はmgからμgの単位で計るほど僅かの量です。

    ◆食品の五大栄養素…しっかり考えて食べていますか?

    エネルギーを作る蛋白質、脂質、炭水化物、ここまでが三大栄養素と言われます。ここに体の調子を整える、と言われるビタミンとミネラルを加えて五大栄養素と呼びます。体の調子を整えると言ってもパッとこないかもしれません。

    ◆無ければ無いで生きていけるのか…?

    数十種類のビタミン、ミネラルの効果や重要性を覚えておくのは難しいと思います。ビタミン13種類の役割から摂取量、過剰摂取と欠乏症のまとめ、サプリメントの摂り方と栄養成分など、食生活に必要なエッセンスのみを簡単に解説しましょう。

    【参考】農林水産省/みんなの食育、厚生労働省/日本人の食事摂取基準、栄養学の基本がまるごとわかる辞典(2015,西東社)、栄養成分表2015、その他学術論文など。

    ◆ビタミンとミネラルの基礎知識

    ビタミンもミネラルも『直接エネルギーにはならないが、生物の生存生育に必要な栄養素』という大きな括りでは同じです。化学的な話になりますが、炭素を含む化合物である有機物がビタミン、炭素を含まない無機物がミネラルとなります。ミネラルのほとんどは化学的には、金属に属します。

    ビタミンは主に代謝やホルモンバランスに関与しています。ミネラルは、主に骨格の形成や細胞の浸透圧制御など、身体形成・維持に関与しています。種類ごとの詳しい機能は後の章で羅列してます。

    ◆水溶性、脂溶性のビタミンと吸収効率

    ビタミンの吸収と輸送

    ビタミンは大きく分けると、水に溶ける水溶性ビタミン、水に溶けず油に溶ける脂溶性ビタミンの2つに分かれ、この2つは吸収のメカニズムと身体内での蓄積性が大きく異なります。

    水溶性ビタミンは腸管の表面にから直接、あるいは輸送器官を経て血管へ吸収され、全身の細胞に輸送されます。吸収されやすい反面、尿に容易に溶解するので体内に蓄積されず、過剰分は直ぐに排出されます。そのため、水溶性ビタミンには摂取上限が無い場合が多いですが、サプリメント等で急に過剰摂取すると過剰症が出る可能性があり、そのようなビタミンは上限が設けられています。このため、継続的に少量ずつ摂取することが望ましいのです。

    脂溶性ビタミンは油分とともに吸収されます。そのため油分を含む食品とともに摂取すると吸収されやすく、サプリ等で単独で摂取すると吸収率は低くなってしまいます。脂溶性ビタミンは水溶性ビタミンと違って、肝臓に蓄積されるため、過剰摂取すると身体に悪影響が出る場合があります。種類により、農林水産省が摂取上限量を定めております。

    ◆食事摂取基準とは

    研究機関で得られたデータを基に厚労省が作成した日本人の食事摂取基準では、栄養素の摂取量を以下のように区別しています。

    まず、健康機能の維持に必要な量を充足する『推奨量』です。正確な値の策定にはさらなる研究が必要ですが、栄養状態の維持に十分と考えられる『目安量』があります。この2つは研究データの豊富さによる違いであるため、ここではほぼ同じ意味で扱います。

    また、過剰摂取による健康障害の回避を目的として『耐容上限量』が定められています。毎日継続して摂取すると過剰症が発症しうる量の目安となります。

    ◆適正摂取量は年齢により変わります

    ※日本人の食事摂取基準2015よりデータを抽出しグラフ化赤と青の線が年齢ごとのビタミンAの摂取推奨量を示しています。点線が耐容上限量ですね。

    それぞれが健康維持に必要な下限と上限ですから、緑部分が1日あたりの適正な摂取量の目安なります。それでは、これらの用語を基に、各ビタミンの基礎知識と適正摂取量を見ていきましょう。