第5章 癌の手術療法 

インデックス はじめに  | 第1節 手術療法  | 第2節 集学的治療 ~手術療法の限界~  | 第3節 その他の手術療法  | おわりに
  • はじめに

    手術療法とは、手術により癌の治療を行うことであり、化学療法と放射線療法と共に癌に対する三大療法の一つです。癌周囲の組織やリンパ節を含めて切除することが最も一般的です。血液の癌(白血病やリンパ腫など)を除いて、手術療法は癌の治療法の中心とされており、第一に選択する治療法です。

    しかし、すべての癌に対して手術を行うわけではなく、その病期(ステージ)に応じて治療法を選択します。癌の治療法の中で手術療法がどのような役割を果たしているか説明します。

  • 第1節 手術療法

    手術療法は、メスで癌組織を切り取ってしまう治療法です。通常は癌の病巣だけを切り取るのではなく、目に見えない癌細胞が移っている(転移といいます)かもしれない周りの正常組織も含めて切除します。

    たとえば、胃癌の手術療法を例に挙げれば、胃癌を治す(根治といいます)ためには、胃癌のみをくり抜くようにして切り取るのではなく、ある一定の範囲の胃とその周りの転移している可能性のあるリンパ節も一緒にとる手術を行います。

    手術療法のメリットは、完全に切除できれば体内から癌を消すことができますので、最も直接的かつ根治の可能性が高いことです。たとえば早期の胃癌で転移が無い場合は、手術療法でほぼ100%治すことができます。

    一方で、手術療法のデメリットは、体にメスを入れるため傷や体力の回復にある程度の時間がかかることや、切除する部位によっては臓器や体の機能が失われることがある点です。このようなデメリットを軽減するために、最近は小さな早期癌を内視鏡(胃カメラなど)を用いて切除したり、鏡視下手術(胸腔鏡や腹腔鏡)というカメラを使った手術が行われ、患者さんの体への負担を軽くしながらかつ、癌を治す取り組みが進んでいます。

    これらの低侵襲(負担)手術が積極的に行なわれます。このように、癌が発生した場所に留まっている限り、手術療法は最も根治が期待できる治療法です。

  • 第2節 集学的治療 ~手術療法の限界~

    手術は早期癌ばかりではなく、進行癌にも行われます。癌は進行してくると、周りのリンパ節や臓器に転移していきます。前述したように、手術療法は局所療法といって、癌が発生した場所に留まり、その場所の目に見える癌を切り取ることが得意な治療法です。

    一方で、癌細胞が血液やリンパの流れに乗って手術の範囲を越えたリンパ節や肝臓や肺や骨や脳などに転移していると、手術療法は無力です。このような進行した癌に対して、どのように治療するかが問題になってきます。そこで、手術療法と抗癌剤による治療(化学療法)や放射線療法を組み合わせて行うことがあります。このようにいろいろな種類の治療法を組み合わせて、総合的に治療を進める方法を集学的治療と呼んでいます。

    集学的治療の一例として、進行直腸癌に対する術前化学放射線療法というものがあります。直腸癌と少し離れた場所にあるリンパ節転移に対して、手術前に一定期間の化学療法と放射線療法を行うことがあります。癌を縮小させ切除範囲を少なくすることで肛門を残すことが可能になったり、術後の再発を抑えることができると考えられています。

    更に、根治手術を行ったあとの再発予防のため化学療法を追加することもあります。このように集学的治療は、手術で癌の病巣を切除し、化学療法や放射線療法などで目には見えない微小な癌細胞を死滅させて根治を目指す治療法です。

  • 第3節 その他の手術療法

    癌の切除を目的としない(癌とうまく付き合っていくための)症状緩和のために手術療法を行うこともあります。癌により食事の通過が障害されたり、出血など切迫した症状を改善するために行う手術です。

    胃癌を例に挙げると、胃空腸バイパス術が代表的な術式ですが、身体への負担を減らし術後できるだけ早く抗癌剤の治療を始めることを目指して腹腔鏡にて行うこともあります。また、乳房切除後に審美性を保つための手術や失われた機能を回復させるための手術もあります。

  • おわりに

    手術療法は、早期に発見された癌を治せる可能性が非常に高いことを紹介しました。また、進行癌に対しても手術療法を中心として様々な治療法を組み合わせていくことで、根治を目指していきます。

    一方で、癌の治療は、早期発見、早期治療が大原則です。未だ癌の発生の原因がわかっていない部分もありますが、癌予防のための食事や喫煙、その他の生活習慣を改善して、癌の予防に努めることも重要です。

    癌の治療法としては:

    • 放射線療法
    • 化学(薬剤)療法

    この3種類がメインでした。最近では生化学や医学の進歩によって:

    • 免疫療法(近日中に厚労省が認可の方針)
    • 高濃度ビタミンC点滴療法(厚労省で未認可のため実費)

    いずれにしても、早期発見そして早期治療こそが最適だと思われます。ここでは具体的な手術法を説明しません。それはメス、内視鏡、カテーテルなど多くの手術法があり、医療機器も進歩しています。専門の医師の分野ですから、担当医に説明を受けて下さい。