第1章 癌の概要 

インデックス 第1節 癌の発生メカニズム  | 第2節 癌の特徴  | 第3節 統計情報  | 第4節 原因  | 第5節 治療  | 第6節 治療
2節図3

第二次世界大戦後、我が国の主要死因及び疾病構造は急激に変化し、結核、肺炎などのうつる病気(感染症疾患)から、癌、心疾患、脳血管疾患などの作られる病気(いわゆる成人病)に変化してきました。

以前は「成人病」の発症や進行には、加齢によるものが多いと考えられてきたのですが、生活習慣が大きく関与していることが明らかになっています。つまり、成人の慢性病はある日突然発症するのではなく、若いころからの食生活や運動、睡眠、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣を長年にわたって不適切に積み重ね た結果、発症することが多いのです。

そして乱れた生活習慣の結果、子どもにも「成人病」と同じような症状が増えたため、生活習慣によって起きるということを広く理解してもらうという意味を込めて、1996年(平成8年)に従来の成人病から「生活習慣病」と名称変更されました。

成人病(生活習慣病)を予防するためには、正しい知識を得て、正しい生活習慣を身につける意識を持つことが大切です。ここでは癌について説明します。

※朗報

現在、癌検診ではX線使用、造影剤のバリウム使用、胃カメラ使用、細胞採取など患者への負担が大きいものです。ただ一つだけ、前立腺癌なら血液検査で分かります。さて、欧米では臭覚の鋭い犬が癌の匂いを嗅ぎつける事が報告されています。

癌細胞が独特の排泄物を出すそうです。近年、これを解明すべく国立癌センターなどを中心として、現在は38種類の癌について、その癌の進行ステージまでが検出できるそうです。今後定期健診、癌検診などで安価に検査が出来る時代になるでしょう。(現状では5万円ほど)

※癌治療などは割愛します!

専門医のHPなどを紹介します。名医+装置+最新を早期に探して下さい。

  • 第1節 癌の発生メカニズム

    癌が発生するメカニズムは次第に解明されてきています。いくつかの要素が絡み合って癌が発生すると考えられています。

    1.1 遺伝子

    もとは正常である細胞の中に、癌細胞の増殖を促進させる癌遺伝子と癌細胞の増殖を抑制する癌抑制遺伝子が既に潜んでいて、これに外部からの刺激や環境因子が加わり、癌が発生すると考えられています。

    ①癌遺伝子
    細胞の増殖に関係していて、傷ついて異常を起こすと癌細胞の増殖を促進する遺伝子です。
    ②癌抑制遺伝子
    細胞の増殖を抑制したり、細胞のDNAに生じた傷を修復したりする働きがあります。

    1.2 環境要因

    遺伝子の要因に以下のような環境要因が加わり、癌発生を促していると考えられています。発癌物質、ウイルス感染、放射線照射、紫外線が挙げられます。

    ①発癌物質
    ある種の化学物質を長期的に摂取すると、癌が発生しやすいことが確認されています。そのような物質を発癌物質といいます。煙草、食品添加物、大気汚染物質、排気ガスなどが発癌物質として注意を促されています。
    ②ウイルス・細菌感染
    ウイルスや細菌感染と発癌の関係は深いと考えられています。B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスと肝臓癌、ヒトパピローマウイルスと子宮頸癌、ヘリコバクター・ピロリ菌と胃癌などは関わりがあるとされています。
    ③放射線照射
    大量の放射線照射、少量の放射線の長期照射が、皮膚癌や白血病の引き金となることが確認されています。
    ④紫外線
    紫外線を浴びることにより皮膚癌を引き起こす確率が高くなります。オゾン層の破壊により注目されている要因です。
  • 第2節 癌の特徴

    2.1 初期症状が顕著に現れない

    他の病気と異なり、癌発病の初期はまったく症状が現れません。

    2.2 癌細胞の無碍制限増殖

    細胞の新陳代謝の過程が狂って正常な細胞が突然変異を起こし、もとの細胞とは数、形、性質がまったく異なる細胞が無制限に増殖してしまいます。

    2.3 癌細胞は周囲の正常な細胞を弱らせる

    癌細胞は血液中の栄養素や酸素を取り入れてしまい、正常な細胞を弱め破壊させてしまいます。

    2.4 癌細胞は転移する

    癌がある程度発育すると、血液やリンパ液の流れにそって癌細胞の一部がはがれて全身に運ばれてかく臓器に転移します。

    2.5 完治する可能性も十分ある。

    癌の種類によっては初期の段階であれば完治します。

  • 第3節 統計情報

    3.1 主要死因別にみた死亡率の年次推移

    2節図3
    注1)
    平成6・7年の心疾患の低下は、死亡診断書(死体検案書)(平成7年1月施行)で「死亡の原因欄には、疾患の終末期の状態としての心不全、呼吸不全などは書かないでください」という注意書きの施工前からの周知の影響によるもの
    注2)
    平成7年の脳血管疾患の上昇の主な要因は、ICD-10(平成7年1月適用)による原死因選択ルールの明確化によるもの

    日本における主要死因別死亡率において、悪性新生物(癌)は右上がりの動きをみせていて昭和56年以来第1位のままです。

    3.2 性・主な部位別にみた悪性新生物死亡率(人口10万対)の年次推移

    2節図3
    注1)
    結腸と直腸S状結腸移行部及び直腸を示す。
    但し、昭和40年までは直腸肛門部を含む。
    注2)
    肝と胆のう及び肝外胆管を示す。
    注3)
    気管、気管支及び肺を示す。
    厚生労働省「人口動態統計」より

    3.3 性・年齢別に見た悪性新生物死亡数割合 平成23年度

    食生活をはじめとする生活様式の変化、医療技術の進歩などで悪性新生物の部位にも変化が現れています。

    2節図3
    • 男性では「肺」が平成5年に「胃」を上回って第1位となり、その後も著しく上昇しています。
    • 女性では「大腸」が、平成15年に「胃」を上回って第1位となり、その後も増加の一途をたどっています。また「乳房」は平成18年にこれまで下回っていた「肝」を上回りました。

    悪性新生物死亡全体における女性の子宮癌の割合は、昭和25年には26.3%でしたが、平成23年には4.2%と減少しています。生活面での衛生環境の改善や、早期発見と治療が減少の原因と考えられます。

    その他、結腸、膵臓、胆嚢などの悪性新生物においては男女とも上昇傾向にあります。


  • 第4節 原因

    肺癌になる最もはっきりしている原因は喫煙です。喫煙者に肺癌が発生するリスクは、非喫煙者と比べると、男性では約4倍、女性では約2倍になります。肺癌で死亡した人のうち、喫煙が原因と考えられる人の割合は、男性では約70%、女性では約20%とされています。

    喫煙歴が長く、累積した喫煙本数が増えるほど、肺癌になるリスクが高くなります。喫煙指数としては、「1日の喫煙本数」×「喫煙年数」の値が600以上になると、肺癌のハイリスクグループとされます。

    また、喫煙される方は能動喫煙で自らの意思で煙草を吸っていますが、受動喫煙で自らの意思とは無関係に、煙草の煙にさらされて喫煙させられている状態の方でも肺癌のリスクは高くなり、受動喫煙がない方に対して20~30%程度高くなると推計されています。

    喫煙以外でも日常的に排気ガスにさらされている方やアスベスト(石綿)の吸引歴がある場合も肺癌リスクは高まります。そのほか、原因が特定できない場合もよくみられます。

    <肺癌・ハイリスクグループ>

    • 50歳以上の人
    • 喫煙指数「1日の喫煙本数」×「喫煙年数」=600以上
    • 癌にかかったことがある人
    • 家族に癌の患者がいる人
    • 日常的に排気ガスや有害化学物質にさらされる生活を送っている人

    遺伝などさまざまな原因が考えられます。早期ではほとんど症状がありません。癌がある程度大きくならないと自覚症状が現れないため、症状が現れた時点では、癌が進行している場合も少なくありません。 ※早期発見が重要な病気なのです!

  • 第5節 治療

    5.1 診断の流れ

    肺癌を見逃さないために定期(基本)検査の重要性
    胸部X(エックス)線検査 胸部CT(コンピュータ断層撮影)検査 喀痰細胞診 など
    ↓ 
    肺癌が疑われたら確定診断
    気管支鏡検査  経皮的針生検気管支鏡検査  胸腔鏡検査 など
    肺癌が確定となったら
    生検組織から肺癌の種類を調べる + CT検査、MRI検査、PET など

    5.2 基本検査

    肺癌を発見するための基本的な主な検査には、「胸部X線 査」「胸部CT(コンピュータ断層撮影)検査」などの画像検査や、痰を調べる「喀痰細胞診」があります。

    ・胸部X線検査
    健康診断などの最も基本的な検査で胸部全体にX線を照射して平面撮影し、肺に異常な影があるかどうかを調べます。2cm程度の癌の発見に有効ですが、心臓や背骨、鎖骨、肋骨などの骨と癌とが重なっていると発見が難しくなります。
    ・胸部CT(コンピュータ断層撮影)検査
    X線を照射する装置が体の周りを回転しながら撮影し、コンピュータ処理によって体が断層されたように精度の高い画像が得られます。1cm程度の小さな癌の発見や胸部X線検査では写らない癌の発見に有効です。
    ・喀痰細胞診
    痰の中に癌細胞がないかどうかを調べる検査です。3日間続けて朝採取した痰に、癌細胞が混じっていないかどうかを調べます。肺門部(中心型)肺癌の場合は、画像検査では発見が難しいことが多いため、喀痰細胞診が早期発見の重要な手立てになります。喫煙習慣がある50歳以上の人や血痰が出たことがある人は検査を受けるとよいでしょう。

    5.3 確定診断検査

    肺癌が疑われた場合、癌かどうかを確定するには組織を採取して調べる「生検」を行います。生検の方法には、「気管支鏡検査」「経皮的針生検」「胸腔鏡検査」があります。

    ・気管支鏡検査
    気管支鏡あるいはファイバースコープという内視鏡を挿入して、病巣を見つけます。癌が疑われる組織の一部を採取します。確定診断のために行われる検査の中では、最も基本的な方法です。
    ・経皮的針生検気管支鏡検査
    皮膚の上から針を胸部に刺して細胞を採取します。癌が疑われる発生部位が、体の表面に近い場合などに用いられます。
    ・胸腔鏡検査
    胸部に小さな孔を開けて、胸腔鏡という内視鏡を挿入して組織を採取します。気管支鏡検査や経皮的針生検でも肺癌の確定診断が難しい場合に行われます。
  • 第6節 治療

    肺癌の治療法は、癌の種類、進行度、患者の体の状態などで異なります。

    • 小細胞癌の治療
    • 非小細胞癌(扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌)の治療

    6.1 小細胞癌の治療

    <治療の基本>

    • 外科療法
    • 化学療法(抗癌剤)
    • 放射線療法

    癌の種類、進行状態、発生部位、患者さんの肺や全身の状態が考慮され、治療法が決定されます。肺の小細胞癌は、急激に大きくなります。そのため、小細胞癌と診断されると、病期がⅠ期でリンパ節転移がなければ手術しますが、それ以外の病期ならまず化学療法を行います。

    小細胞癌には化学療法が非常に著効(※)であることが多く、放射線治療も著効することがしばしばあります。(※著効とは、観察できるすべての腫瘍がほぼ完全に消え、その消失している期間が4週間以上あることをいいます。)

    直接的な診断法でⅠ期以外の小細胞癌ということが確定すれば、まず化学療法を行うのが一般的で、効果を確認した後に手術で切除することもあります。小細胞癌では、癌の進度の分類以外に、癌の見つかった部位が治療を決める要因にもなります。癌の見つかった部位による分類は以下の通りです。

    ①限局型
    片側の肺と肺の近くのリンパ節にある場合です。
    治療は以下のいずれかになります。
    抗癌剤による化学療法と放射能治療の合併療法
    脳転移を予防するための脳への放射能療法(予防的全脳照射)を行うこともあります。
    抗癌剤による化学療法
    予防的全脳照射を行うこともあります。
    外科手術(極めて早期の場合)、その後、抗癌剤による化学療法
    予防的全脳照射を行うこともあります。
    ②進展型
    癌が肺の外に広がり、癌の転移が身体のほかの臓器にも見つかる場合、つまり遠隔転移のある場合です。
    治療は下記のいずれかになります。
    抗癌剤による化学療法
    予防的全脳照射を行うこともあります。
    放射能療法
    骨転移や脳転移などの遠隔転移による症状や苦痛を和らげたり、縦隔リンパ節転移による顔や首の腫れ(むくみ)を和らげる目的で、放射能療法を行うことがあります。
    ③再発
    癌が肺や他の臓器に再発した場合です。
    治療は下記のいずれかになります。
    前に効果のあった抗癌剤による再治療
    他の有効な抗癌剤による化学療法
    再発部位に対する放射能療法
    痛みや他の苦痛に対する症状緩和を目的とした緩和療法

    6.2 非小細胞癌(扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌)の治療

    非小細胞肺癌は、進行癌となってから発見されることが多いため、外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法などを組み合わせる治療が行われています。化学療法(抗癌剤)が柱となる小細胞肺癌とは治療が異なります。病期、患者さんの肺や全身の状態が考慮され、治療法が選択されます。

    進行期状況検討する治療法
    0期癌は少ない細胞層の中だけに見つかる。 外科療法
    Ⅰ期癌が肺内だけに存在し、周囲に正常組織がある。 外科療法・放射線療法
    Ⅱ期癌が近くのリンパ節に広がっている。 外科療法・放射腺療法・外科療法に他の治療法を加える
    Ⅲa期癌が肺のそばの胸壁や横隔膜、胸膜に広がっている。気管には広がっていません。 外科療法・放射線療法・他の治療と合わせた化学療法
    Ⅲb期癌が心臓、胸壁、横隔膜、気管、食道、胸骨、背骨などに広がっている。
    Ⅳ期癌が体のほかの部分に広がっている。 放射線療法・化学療法・化学療法に他の治療法を加える
    再発治療後に癌が肺や体の他の部分に出てくる。 症状を抑えるための放射線療法・化学療法・放射線療法を併用した化学療法

    ※第四の治療法

    2019年のノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大特別教授の本庶ほんじょたすく氏の研究から生まれた癌治療薬「オプジーボ」は、発売から4年で60か国以上に広がった。

    多くの癌患者の福音となった薬は、発売前の臨床試験(治験)で末期患者に表れた「予想外」ともいえる高い効果が弾みとなり、世に送り出された。これは第四の癌治療法とも言われています。免疫療法なのです。

    ※第五の治療法

    未だに厚労省では保険適用外のままです。高濃度ビタミンCの点滴療法のことです。