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薬草酒» 第1章 薬草酒の基礎〔薬草酒の基礎情報〕

お酒は血行を促進し、薬効をすみずみにまで行き渡らせる作用がある。医食同源といいますが、実は太古の時代から食材には治療作用があるということが認識されており、お酒を作る技術も原始時代に生まれたそうです。猿でさえも木の洞に溜まった発酵酒を飲むそうです。

昔の時代はみんなでお酒を飲んで愉しむというよりも、宗教や祭りのイベントに使用され、一般庶民が気軽に飲むというより、宮廷の中や一部の限られた人のみが扱える貴重品であったと言われています。さてそのお酒や食材も、一緒にあわせお酒に漬けることで、より食材の薬効を抽出出来ることが分かり、今ではさまざまな薬酒が沢山の人に人に親しまれている。

薬酒は適度にたしなめば正に「百薬の長」で、カラダの冷えや消化促進にも良いですが、くれぐれも飲み過ぎには注意しましょう。

◆薬用酒【基本的な作り方】

  1. 薬用酒に使う壜は果実酒を漬け込む透明な広口の密封できる壜を利用すると良い。焼酎は一升瓶(1.8リットル)を購入し広口壜は果実酒用3リットルほどの壜が適当である。
  2. 果物類の薬効成分の浸出に使う焼酎(ホワイトリカが代表)はアルコール度数35度を基準にする。女性向きではもっと弱いものでもいいが材料が腐りやすいので注意が必要である。焼酎は無味、無臭、無色で、材料の特性を損なうことなく利用できて最適である。
  3. 市販の薬用酒には甘味料を加えてある。これは酒の味をつけるとともに、コクを良くして発酵と熟成も助け、悪酔いを防ぐ意味もある。薬効成分の薬草酒では甘味料を入れない。
  4. 中国産の「老酒」も氷砂糖を加えて飲むことはよく知られている。リキュールもハーブを加えて作ったものであり、薬用酒の一種である。
  5. 甘味料は蜂蜜、氷砂糖、グラニュー糖、白ザラメのいずれでも良い。好みに応じて100~200グラム程度を一緒に入れると良い。甘味料、素材、甘味料の順に層にして瓶に入れ最後に焼酎を注ぐ、と焼酎の液撥ねが無い。優しくそっと扱うのが基本である。
  6.  一般的に、生薬の場合には水洗いせずに使用し、成分の浸出までには1ヶ月以上は必要である。高麗人参などは20年も漬け込めば金色に輝いてくる。
  7. 生薬の使用量は材料によって異なるが、通常は100~200グラムである。粉状よりも固形状が良い。材料によっては砕けて溶けるので、ネットに入れてから取り出すか、コーヒー紙などで濾過するのが良い。
  8. 半年、1年経っても腐敗することは少ないが、梅雨を越すときは注意したほうが良い。度数が低過ぎると、果物の場合には水分が多くて腐る場合もあるので度数に注意すること。
  9. 熟成中は直射日光のあたらない涼しい所(冷暗所)に保存すること。冷蔵庫に入れる必要はない。時々は揺すってやる材料もある。

1.1 アルコール類の選択〔基本はホワイトリカ〕

◆お酒の選択:生薬など薬草酒の場合

焼酎にはアルコール度数の異なる三種がある。25度、35度、45度の三種である。アルコール度数の高いものは成分の抽出速度は速い。果物類は水気が多いので45度では強すぎるし、25度か35度、冬期間ならば清酒に漬け込むという方法もある。

生薬を材料にする場合には、水分を含まないように十分に乾燥させてから、25度の焼酎が適当である。高麗人参のように薬効成分を十分に引き出すには、アルコール度数の強い焼酎(老酒、泡盛など40度以上)が好ましい。ワイン、ブランデイ、ジンをベースにする方法もある。

使うお酒はアルコール度数が高いほど成分の抽出が高く、腐り難い。また、焼酎にも乙と甲があったり、清酒やジンなどを使用しても良いのですが、ここでは一般的に手に入りやすく、使いやすいホワイトリカー(甲類、アルコール度数35度)をベースに考えます。個々で必要な場合に補足します。

◆ホワイトリカー:主に果物酒の場合

手作り酒のベースは、ホワイトリカー(甲類焼酎35度)を使います。蒸留酒には、ウイスキーやブランデーなども良いでしょう。香りが強い酒や色が付いてるもは避けた方が良いと思いますが、好みです。チャレンジしてみてください。度数の強い酒を用いるのは、薬効成分が良く溶け込んで薬効成分を引き出してくれることと、腐敗したり再発酵して変質しないからです。甲類焼酎25度を使用すると水分で酒が薄まり保存が利かなくなり腐り易いので注意です。

◆アルコールと薬用酒の効果

アルコールは消化を助け、食欲を増進させ、血液の循環を良くし、体を温める作用がある。また、眠りを助けてストレス解消の作用もある。漢方薬は、煎じて服用する方法がよく知られていますが、漢方生薬は酒につけた方がアルコール分で簡単に成分を抽出できる効果がある。口当たりもよくなり、血中に入り易く、効果が現れるのも早くなります。

薬用酒は未病を治すとも言われており、半健康状態の血液循環不良、虚弱体質、、体力低下また、老化など体力を補い新陳代謝を高め、免疫力を高め免疫力を強めたい人に向いている。

◆薬用酒の飲み方

薬用酒であるが、食前酒としても良く、就寝前に飲むのも良い。1~2杯(15~30ml)が適量である。いわゆる、アルコールが強いのでお猪口に1~2杯で、薬酒10mlに水30~50ml加えたが良い。特に、胃の調子の良くない人は必ず薄めてから飲んで下さい。飲むときには、水や湯や炭酸などで割ったり、蜂蜜などで味を調えると更に飲み易くなる。漢方薬の匂いが気になる人は、飲むときにレモンを滴下するという方法もある。

◆薬用酒が向かない人

アルコールを大量に毎日飲み続けるのは体に良いことはありません。薬用酒も同じアルコールですから、適量を守ってこそ大きな効果が期待できる。また、薬用酒が不向きな方、服用してはいけない人もいます。それは、出血性疾患、炎症性疾患、呼吸器疾患などで病勢が激しい人です。また、術後で出血している人も向いていません。

薬用酒は、味よりも効能本位に作られたものなので、味の良いものばかりではない。土中からの生薬(根っこなど)は、ドロ臭かったりゴボウの様な匂いもします。毎日続けて飲む以上は、おいしいに越したことはありません。好みにもよりますが、刺激の強い味にはまろやかな甘みを加えると良い。

1.2 薬草や果物の素材〔何を狙って漬け込むか〕

◆材料の入手

乾燥されたクコの実など漢方薬材料や野山で採取した薬草類は、そのまま漬け込んで薬草酒にすることが出来ます。乾燥生薬を漢方薬局で販売していますので入手できますが、小分けしている物よりも 500gの量で真空パックした物が香りが逃げなくて良い。

漢方を熟知している漢方薬の店で、自分にあった物をアドバイスして貰ってオリジナルを作るのも楽しいでしょう。出来れば自分で野山から採取した物を乾燥させて使うのが良い。その採取時の注意点として:

注意1:
毒草(トリカブトの根などが絶対に混じらない事)に注意する。
注意2:
泥は十分に洗い落すこと
注意3:
洗ったら水分を十分に乾かすこと。
注意4:
大きさを揃えてから乾燥させる。

◆甘味料

今まで砂糖の使用は、薬用酒を作るときの常識と言われていました。しかし、砂糖無しでも果物などは十分な甘さと、素材から引き出した香りや成分は変わりません。無糖で作る利点は素材本来の香りを楽しめます。味が気に入らなければガムシロップを足しても構いませんしグラニュー糖やみりん黒糖などを使用してみるの良いでしょう出来れば氷砂糖か蜂蜜が良い。

薬草酒は一般に無糖です。甘味料は、生薬を引き上げた後、グラニュー糖やみりん黒糖などを加え、よく溶かして再び日の当たらない場所へ保管して寝かします。

◆容器と容量

薬用酒容器は耐久性のあるものを選びます。アルコールや香りは逃げ易いので、必ず密封容器を選びガラス製の素材がお勧めです。素材によっては口径の大きなものが必要です。蓋が金属製のものは、含まれている酸によって錆びることがあるので注意する。

その他、素材によっては漬け込んでから砕けるものもある。後でコーヒーフィルター紙などで濾過しても構いませんが、出来ればネット等の袋で漬け込んだ後で引き上げる法が良い。そのままずっと漬け込んだままの素材もある。

◆漬け込みの基本

漢方薬の漬け込みは、生薬の量を沢山に入れ過ぎないこと。濃厚な味になってしまう。目安の量は個々で説明します。生薬の引き上げ時期は、本来はまったく気にしなくて結構です。長年熟成させても構いません。沈殿物の澱(オリ)が気になるなら、濾して下さい。

漬け込みの基本は、500ccの容器に入れる場合、生薬の重さを引いた酒を入れて下さい。生薬30gであれば、酒の量は 470ccです。保存する場所は、陽の当たらない場所です。陽に当たると出来あがったものが変色してしまいます。

1.3 薬草酒の種類〔造ってみませんか〕

●胃のもたれ、胸やけ、胃弱

薬草酒薬草・素材用量蜂蜜・氷砂糖漬込み期間飲用時
ダイダイ酒橙皮250g200g3ケ月30~40cc
紫蘇酒紫蘇葉200g200g2ケ月10~15cc
山椒酒山椒実125g200g2ケ月10~15cc
月桂樹酒瑠璃葉200g250g2ケ月20~30cc
ハッカ酒ハッカ葉125g75g1ケ月20~30cc
コブシ酒シンイ(辛夷花蕾)250g125g2ケ月30cc
ウイキョウ酒ウイキョウ200g200g3ケ月20~30cc
丁子酒チョウジ50g250g1ケ月20cc

●高血圧症

薬草酒薬草・素材用量蜂蜜・氷砂糖漬込み期間飲用時
松葉酒赤松の葉200g75g3ケ月20cc
エンジュ(槐)酒カイカ(花蕾)250g125g2ケ月20cc
杜仲酒杜仲葉180g75g2ケ月20cc

●疲労・食欲不振・不眠

薬草酒薬草・素材用量蜂蜜・氷砂糖漬込み期間飲用時
枸杞(クコ)酒クコ葉、実250g125g2ケ月15cc
果林(カリン)酒250g150g3ケ月30cc
菊花酒菊花250g75g2ケ月20cc
忍冬(スイカズラ)酒金銀花125g75g2ケ月30cc

●風邪

薬草酒薬草・素材用量蜂蜜・氷砂糖漬込み期間飲用時
金柑酒金柑実250g250g1ケ月20cc
杏酒杏実1,000g500g3ケ月30cc
杏仁酒杏仁30g300g3ケ月40cc
五味子酒五味子250g200g1ケ月20~30cc

●消化不良・下痢によく効く

薬草酒薬草・素材用量蜂蜜・氷砂糖漬込み期間飲用時
芍薬酒芍薬250g200g3ケ月30cc

●体力消耗・精力減退

薬草酒薬草・素材用量蜂蜜・氷砂糖漬込み期間飲用時
マタタビ酒木、実250g125g3ケ月20cc
イカリ酒イカリソウ125g50g3ケ月20~30cc
人参酒人参100g100g6ケ月30cc
大棗酒棗実250g125g3ケ月20~30cc
枸杞(クコ)酒クコ葉、実250g125g2ケ月15cc
肉ジュヨウ酒肉ジュヨウ100g100g2ケ月20cc
竜眼肉酒,竜眼肉100g100g2ケ月20cc
山シュユ酒山シュユ180g200g3ケ月20~30cc

●冷え症・貧血・生理痛

薬草酒薬草・素材用量蜂蜜・氷砂糖漬込み期間飲用時
紅花酒紅花(コウカ)125g250g2ケ月20~30cc
当帰酒当帰(トウキ)75g125g3ケ月20cc
サフラン酒サフラン25g150g3ケ月20~30cc
芍薬酒芍薬125g250g3ケ月30cc
250g125g3ケ月20cc

などなど、種類が多くて目が廻ります。しかも、漢方薬局でしか入手できない素材が多い。そこで、貴方でも身近で入手できそうな果物や野菜あるいは山野草などで驚きの効果を上げる薬草があるものです。(例えば麦門冬なら野山の龍ノ髭か蛇ノ髭です)

ここでは、誰も書かず公表しなかった意外な薬草(野菜、果物、樹木、草根)の薬酒の紹介と造り方や効能などを説明します。

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