用語集

碇石いかりいし

蒙古碇石 - 承天寺[臨済宗東福寺派][福岡県福岡市博多区]
蒙古碇石 - 承天寺[臨済宗東福寺派][福岡県福岡市博多区] 

北九州沿岸地方の海岸より多数発見されている加工された細長い石である。 承天寺にも寺前及び境内にも2本展示されている。(蒙古碇石)

この石そのものは碇の本体ではなく、木製の碇に装着して碇を重量をかせぎ、水に沈める為の部品である。 下記のサイトに詳細な図解がある。

年代測定が明らかにした蒙古碇石の産地

一里いちり (近世における長さの単位)

0.0303m=3.03cm
0.3030m=30.3cm
3.030m=300.3cm
1.8182m
109.09m
3927.2m=3.927km

注意:正確には時代によって異なっているようである。各時代の寸法についてはしかるべき資料を参照されたし。

開梆かいばん

仏殿脇の巨大な開梆  - 福聚寺[黄檗宗][福岡県北九州市小倉北区]
仏殿脇の巨大な開梆 - 福聚寺[黄檗宗][福岡県北九州市小倉北区] 

木魚の原型と言われる。法要や食事の時間になると打ち鳴らしてその時を知らせる。 魚梆(ぎょほう)とも言う。

右の写真(広寿山福聚寺所収)を参照の事。 木板も参照のこと。

国郡沿革表くにぐんえんかくひょう

国名延喜式吾妻鏡
その他
郡名考
天保郷帳
郡区編成現在
筑前志摩(しま)志摩志摩志摩糸島郡福岡市・大野城市・春日市・筑紫野市・
太宰府市・前原市(現糸島市の一部)
怡土(いと)怡土怡土怡土
早良(さわら)早良早良早良早良郡
那珂(なか)那珂・那賀那珂・那賀那珂筑紫郡
席田(むしろだ)席田席田席田
御笠(みかさ)御笠御笠御笠
糟屋(かすや)糟谷・粕屋・糟屋糟屋糟屋糟屋郡福岡市の一部・古賀市
穂波(ほなみ)穂浪・穂波穂波穂波嘉穂(かほ)飯塚市・嘉麻市
嘉麻(かま)嘉麻・嘉摩嘉麻嘉麻
夜須(やす)夜須夜須夜須朝倉郡朝倉市 
下座(しもつくら)下座下座(げざ)下座
上座(かみつくら)上座上座(じょうざ)上座
宗像(むなかた)宗像宗像(むねかた)宗像宗像郡宗像市
鞍手(くらて)鞍手鞍手鞍手鞍手郡直方市・中間市・北九州市
遠賀(おんが)遠賀遠賀遠賀遠賀郡
筑後三潴(みむま)三潴三潴(みつま)三潴(みづま)三潴三潴郡大川市・小郡市・久留米市
御井(みい)三井・御井御井御井
御原(みはら)三原・御原御原御原三井郡
山本(やまもと)山本・山下山本山本
竹野(たかの)竹野竹野竹野浮羽郡筑後市
生葉(いくは)生葉・生桑生葉生葉浮羽郡・八女郡筑後市・八女市
上妻(かみづま)上妻上妻(かふづま)上妻(かみづま)上妻八女郡八女市
下妻下妻下妻下妻
山門(やまと)山門山門山門山門郡柳川市
三毛(みけ)三毛・三池三毛・三池三池三池郡大牟田市
豊前企教(きく)企教・規矩企教企教 北九州市
田河(たかは)田河・田川田河・田川田川田川郡田川市
京都(みやこ)京都京都京都京都郡行橋市
仲津(なかつ)仲津・中津仲津・中津中津
築城(ついき)筑城・築城筑城・築城築城築上郡豊前市
上毛(かむつげ)上毛上毛(かうげ)上毛

『福岡県の歴史』より引用。一部加筆しています。

庫裡くり庫裏(くり)

主に禅宗の寺での食事の調理場として使われる建物の事。

庫裏 - Wikipedia

不許葷酒入山門くんしゅさんもんにはいるべからず

不許葷酒入山門 - 聖福寺[臨済宗妙心寺派][福岡県福岡市博多区]
不許葷酒入山門 - 聖福寺[臨済宗妙心寺派][福岡県福岡市博多区] 

「葷酒山門に入るベからず」

禅宗のお寺の山門近くによくこの文が刻まれた石碑を見かける。

(くん)」 とは、ニンニク・ネギ・ニラ・ラッキョウ・ノビルなど臭いが強くくさい野菜のことを言い、 精力が付過ぎて人間の心を乱すところから、修行の妨げになる為にお寺では食べるのは厳禁とされていたようである。 また、酒も同様。

右の写真は安国山 聖福寺のもの。

高札場こうさつば

幕府や領主が決めた法度(はっと)掟書(おきてがき)などを木の板札に書き、人目のひくように高く掲げておく場所のこと。 高札場のある付近は「札の辻」と呼ばれた。

御院家ごいんげ

一寺院を管掌する僧侶のこと。

真宗・浄土真宗御院さん・和上(わじょう)御院家(ごいんげ)
天台宗和上(かしょう)
真言宗和上(わじょう)・方丈さん
日蓮宗上人(しょうにん)
浄土宗和上(おしょう)上人(しょうにん)
臨済宗・曹洞宗和上(おしょう)

その他にも寺によっては、「老師」「御老僧」と使うことがあります。 宗派によって使う使わないはありますが、「隠家」「御前」「尊師」「教務さん」「阿闍梨さん」等もあります。 何と呼んだら解らないときは、「ご住職」で良いと思います。

五鈷杵ごごしょ

五鈷杵 - 千如寺大悲王院[真言宗大覚寺派][福岡県糸島市]
五鈷杵 - 千如寺大悲王院[真言宗大覚寺派][福岡県糸島市] 

密教の法具。

その昔、大昔、インドの坊主は命を狙われた時の為に護身用の武器を持ち歩きました。それが五鈷杵の起源といわれている。

四苦八苦しくはっく

「苦」とは思いのままにならないこと。

  • 苦:生まれ生きることの苦しみ
  • 苦:年老いることの苦しみ
  • 苦:病気を患う苦しみ
  • 苦:死ななければいけない苦しみ
    (以上「四苦」、「生老病死しょうろうびょうし」)
  • 愛別離苦あいべつりく:愛する者と別れる苦しみ
  • 怨憎会苦おんぞうえく:憎む者と会う苦しみ
  • 求不得苦ぐふとくく:求めて得られない苦しみ
  • 五取蘊苦ごしゅうんく:思い通りにならないという苦しみ
    (以上「八苦」)

四諦したい

  • 人が生きるということは苦であるという真理
  • その苦の原因は人間の執着にあるという真理
  • この苦を滅した境地が悟りであるという真理
  • その悟りに到達する方法が仏道であるという真理

四諦とは(weblio辞書)より一部引用しました。奥が深い概念です。 詳細は当リンク先へ行きお読みください。

錫杖しゃくじょう

錫杖 - 千如寺大悲王院[真言宗大覚寺派][福岡県糸島市]
錫杖 - 千如寺大悲王院[真言宗大覚寺派][福岡県糸島市] 

遊行僧が携帯する道具(比丘十八物)の一つである杖。音を鳴らすのは山へ入ったとき毒蛇などの害から身を守る目的もある。

また、あの音には煩悩を除去して智慧を得る効果があるとか。なので武器というより防具に近い。

右の写真(千如寺所収)を参照の事。

折伏しゃくぶく

破折屈伏(はしゃくくっぷく)の略。

仏教(特に日蓮系の宗派)における布教姿勢の一つで、 摂受(しょうじゅ)に対する語。 相手の間違った思想に迎合することなく、正しいものは正しいと言い切り、 相手と対話を通じて仏法を伝えること。

十悪・五逆じゅうあくごぎゃく

十悪
  • 行ってはならないこと [殺生] [偸盗(ちゅうとう)] [邪淫]
  • 言ってはならないこと [両舌] [悪口] [妄語] [綺語(きご)]
  • 思ってはならないこと [貪欲] [瞋恚(しんに)] [愚痴]
五逆
  • 父を殺す
  • 母を殺す
  • 阿羅漢(道を求める聖者)を殺す
  • 和合僧(道を求める仲間の集い)を破す
  • 仏心(道の師)より血を出し傷つける

塔頭たっちゅう

禅寺で、祖師や大寺・名刹の高僧の死後、その弟子が師の徳を慕って、塔(祖師や高僧の墓塔)の頭(ほとり)、または、その敷地内に建てた小院のこと。。

乳金具ちかなぐ ・おっぱい金具

乳金具 - 千徳寺[黄檗宗][福岡県久留米市]
乳金具 - 千徳寺[黄檗宗][福岡県久留米市] 

お寺の山門の扉に付けられる乳状の金具。あるお坊さんの話では昔はこの金具の数でそのお寺の格式を表したという。 (法隆寺の乳金具|わくわく挿絵帖参照)

調伏ちょうぶく

摂関時代は自分に祟りを及ぼす怨霊を加持祈祷によってしずめる事であったが、院政時代になると 政敵など自分に不都合な相手を呪い殺す事と変わってきた。

密教系の用語。

兵戈無用ひょうがむよう

お釈迦様のことば。兵隊も武器もいらない。

仏旗ぶっき

仏旗
仏旗 

お寺で各種イベント時に掲げられる旗。どうやら宗旨とは無関係のようである。

仏旗 - Wikipedia参照のこと。

方丈ほうじょう

お寺の住職の生活する建物。

方丈 - Wikipedia

御影供みえく

弘法大師は3月21日に御歳62歳で入定された(亡くなった)。 御影供は真言宗の開祖・弘法大師を偲ぶ法要で、真言宗の各寺院でよく行なわれる。

月遅れで4月21日に行われる事が多い。

明珠在掌みょうじゅたなごころにあり

禅の用語と思われる。自分の探しているものは他でもなく自分の掌にある。

You have a tresure in your hands by nature.

木板もっぱん

木板 - 常満寺[浄土真宗本願寺派][福岡県糸島市]
木板 - 常満寺[浄土真宗本願寺派][福岡県糸島市] 

お寺の建物の軒下に吊るしてある板で、これを打鳴らしいろいろなイベントの合図にする。 開梆も参照のこと。


輪廻転生りんねてんせい

「死後の世界は輪廻する世界(六道)と、輪廻しない世界(極楽浄土)に振り分けられる。 一旦極楽浄土に行くと、永遠にそこで暮らせる。」という考えがどうも浄土系の宗派にはあるようである。

輪廻転生とは、上記の輪廻する世界の中をさまよい歩く事である。

六道を離れ、極楽浄土への往生する方法を解くのが仏教という説もある。 (作者はあまり納得していない。)

六道について下の表にまとめてみる。

六道
地獄道 前世でもっとも罪が重かった者が転生する世界で犯した罪の重さによって下記の8つの地獄に堕ちて苦しむ。
  • 等活(とうかつ)
  • 黒縄(こくじょう)
  • 衆合(しゅうごう)
  • 叫喚(きょうかん)
  • 叫喚(きょうかん)
  • 灼熱(しゃくねつ)
  • 灼熱(しゃくねつ)
  • 阿鼻(あび)
餓鬼道 前世において物欲・食欲が人一倍強く、それが満たされないと人を逆恨や妬んだりした者が転生する世界。 前世の欲の深さによって下記の3つに振り分けられる。
  • 無財餓鬼(むざいがき)
  • 少財餓鬼(しょうざいがき)
  • 多財餓鬼(たざいがき)
畜生道 生前悪業を重ね、愚痴の多い者が転生する。常に危険に身をさらし、怯えてくらすことになる。
修羅道 生前、憎悪と怒り・慢心・愚痴にとりつかれて慈悲の心を失った者が転生する世界。 常に帝釈天(たいしゃくてん)と戦い、永遠の苦しみを味わう。
人道 人間界のこと。六道輪廻がら脱却できるのは唯一人道からだけである。
天道 前世で善行を積んだ者のみが転生できる世界。快楽の世界ではあるが、寿命が尽きれば輪廻転生しなければならない。 再び天道に転生する保証はない。快楽のなかにも不安な日々を送る。

早稲わせ

早熟の農作物のこと。

対:中稲(なかて)晩稲(おくて)